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日本ではあまり話題になっていないが、オーストラリアではひどい干ばつがひろがっている。数年前から続いているが、現在もまだ続いている。
マスコミ(特に朝日)は、「地球温暖化が大変だ」「エコが大事だ」「環境が大事だ」などと大騒ぎしているが、自分の近辺のことを考えるばかりで、ちょっと離れたオーストラリアのことにも目を配らないわけだ。あまりにも近視眼的。そこで、以下に引用・紹介しよう。
(1) オーストラリアで干ばつが深刻化し、小麦の生産などが激減している。( → 北海道新聞 2006-11-17 から。)──
(2) オーストラリアの干ばつの状況は、元々降水量が少ない同地において、ここ10年間少雨状態が続いた上に、去年からは例年の1/3〜1/4程度の雨しか降らず、地域によっては一か月一度も降雨のなかった地域もあるとのこと。穀物収穫量が半減した2002年の干ばつを上回り、気象観測開始以来最悪の状況であるとすらいわれている。小麦に限っても前年度比63%減、今回の菜種油や大麦も6割から7割の減少が見込まれるとのこと。水資源確保のために対策室を設けたり緊急支援予算を組んだりしているが、雨そのものが降らなければまさに「焼け石に水」に過ぎないと悲観的な声が多数を占めている。( → 読売新聞 2007-01-06 から。)
(3) 画像。オーストラリアの、ひび割れた大地の写真。
→ 豪州ニュースの紹介( 2008-09-27 )
(4) オーストラリアの主要な農作物領域における干ばつは、いまだに続いている。貯水量は記録的まで低下している。2002年以来の干ばつはすでに 200億 豪ドルの損害をもたらした。( 拙訳。原文は → ロイター(英語) 2009-02-03 )
(5) 21世紀になってからの大干ばつは、2002・2003年、2006-2007年に発生した。( → 豪州の干ばつについての概説サイト )
あちこちの記事でも触れられているが、これは日本に無縁ではない。小麦や牛肉の減産となって影響するからだ。牛肉は今のところあまり影響していないようだが、小麦はすでに影響している。昨年の小麦価格急騰は、オーストラリアの干ばつも一因となっている。
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では、その原因は何か? はっきりとしてことは判明していないのだが、いくつかの見解はある。
(1) 地球温暖化
「地球温暖化のせいで干ばつが起こったのだ」という説。
エコ論者はこういう説を取りたがるが、ちょっと無理がある。特にオーストラリアだけが干ばつになる理由とはならないからだ。また、特に近年だけにひどくなる理由ともならないからだ。
たしかに、「スペインも干ばつに見舞われている」という事実はある。その意味で、いくらかは影響があるかもしれない。しかし、「何でもかんでも都合の悪いことは地球温暖化のせい」というのは、牽強付会(こじつけ)に近い。信頼性が低い。
(2) エルニーニョ・ラニーニャ
エルニーニョ・ラニーニャが原因だ、という説。説明はいくつかある。
(a)知恵袋この (a)(b) は、インド洋との関係で説明している。
「インド洋における、エルニーニョ現象のようなもの、ダイポールモード現象によるものです。っていうか、エルニーニョとは東西が逆なので、インド洋版ラニーニャ現象とでも言うべきでしょうか。(以下略)」( → 知恵袋 )
(b)英文記事
「インド洋はオーストラリアの干ばつに責任があると信じられています。」( → 英文のエキサイト翻訳 )
だが、これは説明になっていない。ここで説明しているのは、「両者は相関関係がある」というだけのことであって、「因果関係がある」ということを意味していないからだ。
別の何らかの原因 X があって、それが「ラニーニャ」と「オーストラリアの干ばつ」との双方をもたらしているのかもしれない。むしろ、その可能性の方が高そうだ。
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さらに言えば、もっと根源的問題がある。
「なぜインド洋の温度が変化したのか?」
「なぜエルニーニョやラニーニャが起こるのか?」
「なぜ偏西風や偏東風が弱まるのか?」
こういう問題がある。
地球の気候というものは、大きな連関の関係にある。それなのに、二つの現象に相関関係があるからといって、一方を他方の原因と見なすのは、あまりにも物事を単純化した認識だ。
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では、どう考えればいいか?
この問題については、私なりに見解を出せるので、次項で詳しく述べる。本項は問題編。解決編は次項で。
→ 地球の砂漠化 (次項)