「もう、死にたい」‐24時間態勢でさまざまな悩み相談を受け付ける「熊本いのちの電話」(熊本市)に自殺願望を訴える相談が急増している。2008年の相談件数は901件で、前年の1.5倍に達した。国内の自殺者数は11年連続で年間3万人台を超えているが、受話器の切実な声に耳を傾けるボランティアの相談員たちは「“予備軍”がさらに増えている」と危機感を募らせている。
「いのちの電話」事務局によると、2008年に受け付けた「自殺願望」の相談のうち、最も多いのは病気や体調の不安などに関する「医療」で406件。自身の生き方や仕事の悩みなどを訴える「人生」(307件)を合わせると、全体の8割を占める。
相談者の年齢別は30代が248人と一番多く、40代(219人)、20代(172人)、50代(167人)。中学生や高校生からの相談が減る半面、働き盛りの世代が急増しているのが近年の特徴だ。男女別では女性が全体の52.7%を占める。
「ストレス社会の中で、家庭や職場でトラブルを抱えている人も多く、景気の悪化など社会的な要因が相談増加の理由では」と池田幸蔵事務局長(59)。
1985年に開局した「いのちの電話」には現在、相談員約120人が登録。24時間態勢で2人が電話機の前に待機し、08年は計1万5406件の相談を受け付けた。
相談内容は外部に漏らさないのが前提だ。受話器の声が自殺をほのめかしても警察などに通報せず、耳を傾け、相手の心が落ち着くのを待つ。1件の相談時間は平均で20分程度だが、自殺願望の電話は長引く傾向があり、中には2時間を超えるケースもあるという。
相談電話=096(353)4343。
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「熊本いのちの電話」事務局は相談者養成のための公開講座の受講生を募集している。
講座は5‐10月の全21回、熊本市新町1丁目の熊本YMCA中央センターで開かれ、被害者支援やカウンセリングの基礎を学ぶ内容。相談者は講座を受講した後、1年半の実習などを経て認定される。
受講料2万5000円。事務局=096(354)4343。
=2009/04/12付 西日本新聞朝刊=