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【福井経済ニュース】

高速バス魅力アップ 「少しでも安く」 若者の心つかむ

2009年2月16日

特典付きサービスにも力

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 昨春のガソリン高を機に、高速バスを利用する年齢層がぐっと広がった。不況で家庭の財布のひもが締まる一方だけに、他の交通機関に比べて格安の高速バスは魅力的だ。過熱する高速バス人気に迫った。 (清兼千鶴)

■近距離人気 

 福井発着で運行しているのは、東京、名古屋、京都・大阪の三路線。約二十年前から運行している名古屋線は、「県民の足」としてすっかり定着している。利用は順調に増え、土曜、日曜日などは増便して対応する人気ぶりだ。

 一昨年十二月から運行している京都・大阪線も、運行開始から一年余りが過ぎた。福井−大阪間を一日三往復しており、利用者から増便を希望する声も寄せられ、順調な滑り出しだ。この路線では学割も導入されており、大学受験や学校見学などで関西に足を運ぶ学生らに、安くて便利な交通機関として重宝がられている。

■他社の参入 

 近距離路線は好調だが、深夜バスの代表格・東京線は苦戦を強いられている。観光業者の参入で、利用客の獲得合戦が始まっているからだ。

 「東京ディズニーランド(TDL)」ツアーなど、観光業者が次々と運行する東京行きのツアーバスは、片道切符も販売しており、その価格は六千円程度と魅力。交通費を少しでも安くしたい若者たちの心をつかんでいる。

 こうした競合他社の参入に、京福バス経営推進室企画・営業グループの安宅道人部長は「今までは走るだけだったが、これからは旅行商品などにも力を入れていく」と軌道修正で巻き返しを狙う。

■生き残りへ 

 その第一弾として、京福バスなどは三月末まで、東京−福井間の往復乗車券と、福井市内で運行しているコミュニティバス「すまいる」、大本山永平寺や東尋坊などの周遊切符をセットにした商品「えちぜんストーリー」を東京都内で販売している。

 宿泊施設や観光地でサービスが受けられる特典が付き、価格は一万五千八百円。ただ、発売時期が帰省客の多い年末だったことに加え、PR不足が響いて利用者はほとんどない。この商品を企画した県観光連盟は「春に向けて販売数を増やしたい」として、四月以降も販売を継続し、てこ入れを図る考えだ。

 競合する観光業者の参入だけでなく、景気対策の一環として土、日曜日と祝日の高速道路の料金も今春にも大幅に値下げされる見込み。ガソリン価格も落ち着き、マイカーへの回帰も予想されるだけに、乗客を伸ばしてきた高速バスへの客足減につながりかねない。高速バスの生き残りをかけた競争は、新たなラウンドに入る。

 

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