2009.03.12
Berryz工房 VS Berryz工房 楠本柊生元帥×仙石みなみ スペシャル対談 第1回
2008年11月18日~23日、東京芸術劇場中ホールで行われた劇団ゲキハロ第5回公演『Berryz工房 VS Berryz工房』DVD発売を記念して、脚本・演出・出演を務めた楠本柊生元帥とT-1059号=せんごくちゃん役を演じた仙石みなみちゃんによるスペシャル対談。本誌には載せ切れないほど、語ってくれたので、ここで完全公開してしまいます! |
DVD 劇団ゲキハロ第5回公演 Berryz工房 VS Berryz工房/3990円でピッコロタウンから発売中。 |
Berryz工房はやっぱりBerryz工房?
ハイパーホビー(以下HH) まず元帥に質問なんですけれども、最初にどこからこの舞台を考えたんですか?
元帥 Berryz工房で舞台をやると決まった時に、まず彼女達をいちばん魅力的に見せるには……って考えましたね。そうしたらやっぱり、Berryz工房がいちばん魅力的に見えるのって、本人なんじゃないの? っていうところにたどり着いたんです。彼女達が輝いているのは、ステージで歌を歌ってるところなんじゃないの? って。そこがファンの皆さんも好きなんでしょうしね。
HH なるほど、そこからなんですね。
元帥 ファンの人達はもう、小学生くらいのころから彼女達を見ているわけでしょ? いわばファンからすれば、自分の娘が舞台に立ってるような気持ちなんじゃないかと。そんなファンの皆さんを絶対に失望させたくなかった。「俺達のBerryz工房をあんなふうにしやがって!」と思われたくなかった。そして、ファン達に喜んでもらうのは当然ですが、ファンじゃない人もファンになってしまうような舞台にしたかったんです。「Berryz工房のファンにならなきゃ損だ!」っていう気にさせる、舞台にいっしょに参加してBerryz工房を応援したくなるようなものにしたいと思いましたね。
HH ファンのことまで、考えていたんですね。
元帥 それに、あくまでBerryz工房がメインの舞台ですから、僕とか仙石、あとマネージャー役の岡田唯とか、嗣永桃子の父母役、おばあさん役の出方ってすごく難しいんですよ。前に出すぎてもいけないし、出なさすぎてもいけない。Berryz工房がよく見える出方をしなければいけない。Berryz工房を、もっともっとおもしろく見せるようにしなければいけない。そこには気を遣いましたね。だから、Berryz工房以外は、わかりやすい、記号的な、マンガみたいなキャラクターにしました。そうしたことで、Berryz工房が際立って見えたんじゃないかなと思っています。
これまでとは違う劇場参加型ゲキハロ!
元帥 それで次に、東京芸術劇場でやるというのが決まった。下見に行ったら、回転舞台があった。それを見た瞬間に、これを記録的に回してやろうと思ったんですよ!
仙石 わ~!
HH なるほど(笑)。
元帥 舞台って、場面の転換、セットチェンジって、なるべく大げさに見せないようになるのがセオリーなんですけど、逆に仕掛けを見せまくって、グルグルグルグル止まらないくらいに回したらどうだろうと! なにぶん、ドリフ世代なもんですから(笑)。お客さんもドリフ世代が多そうでよかったです(笑)。
仙石 うわ~、そうだったんですね。
元帥 最初の30分は、場面転換なしで、ライブ会場のステージのシーンでずーっと進めているんです。それでお客さんも「この舞台はこういう感じで進むんだ」と思ったころから、一気に延々と舞台を回し続けるという、そこはかなりねらった部分ですね。DVDでその辺も確認してほしいですね。
HH DVDで、何回転してるのかも確認したいです。
元帥 セットも非常に昭和っぽい、ドリフのコントみたいなセットにしました。細かいところまでよくできているんで、その辺も楽しんでもらえると思います。
HH お芝居としては、かなり異色な舞台ですよね。
元帥 僕に頼むということは、まともなお芝居を期待されてないと思ってましたしね! 芝居というよりも、1つのエンターテイメントだと思ってもらいたいです。舞台もワールドツアーのライブから始まりますし、お客さんもその観客という舞台装置の一部なんですよ。『ロッキー・ホラー・ショー』のような、観客参加型のお芝居にしたかったんです。劇場で劇場のお芝居をします。ならば、観客もお芝居の一部でしょ? ということですね。最初に僕がお客さんをいじるのは、それを伝えたかったんです。それに、入場の時にサイリウムを配って、ラストシーンの合図で点灯して下さいというのをやりました。
HH なるほど。
元帥 芝居、舞台という場に、彼女達がお邪魔している……というようなものに、僕はしたくなかったですしね。それも1つの方法で、それで彼女達が成長することは重要だと思います。でも、彼女達を基にして、彼女達の持っている魅力から、お芝居という方法論で、1つのエンターテイメントを作り上げていったほうがおもしろいものができると思いますから。彼女達には、ちゃんと歌も歌ってほしいですしね!
ストーリーの発端は1059373!?
HH 物語的な部分はどうなんですか? 言わばSFですよね。
元帥 まず1059号というところが発端なんですよ! 僕は『天才てれびくんMAX』(NHK教育テレビ)という番組でキャプテン9×9(クック)というキャラクターをやってるんですけど、出演者をすべて数字で呼ぶんですよ。それで手下が全部数字で表せるヤツらという設定で。そこで“仙石みなみ”という名前を聞いた時に“1059373”で全部数字にできると! それで、T-1059号、せんごくちゃんにしようと。そして『Berryz工房 VS Berryz工房』というタイトルを決めたんですけれども、いわば『ゴジラVSメカゴジラ』ということなんですよ。
HH なるほど!
元帥 『Berryz工房 VS メカBerryz工房』だとネタがばれてしまいますからね(笑)。それで、Berryz工房とBerryz工房が戦うわけですけど、善悪をすっきり分けるのは、僕は好きじゃないんですよね。それに“悪いロボット”って、非常に人間的じゃないですか? そうじゃなくて、ロボットは人間の出した命令を素直に実行しようとしているのに、人間にとって不都合なことになってくる……というストーリーにしたいと思ったんです。元帥が1059号に命令して、どんどんたいへんなことになっていくという……元帥はいわばトラブルの発端となる役なんですけど、悪意はないんですよね。目的はまちがってないんだけど、いろいろやり方がまちがっているという人で、悪い人ではない。それに1059号にはすごく優しいんですよ。1059号のワガママは、どんなことでも聞いちゃう。そこはすごく大事にしていて、僕の中では『Dr.スランプ』の千兵衛さんとアラレちゃんみたいなイメージなんです。だからこのお芝居って、どこにも悪い人って出てこないんですよ。そこが、ほっこりと優しい、なんかいいストーリーになったと思います。
HH 仙石さんは『Dr.スランプ』はわかります?
仙石 わかります! 小さいころにアニメを見てました。
元帥 じゃあ、(『ハイパーホビー』を見せて)仮面ライダーとかわかる?
仙石 いや~、わからないです。
元帥 僕も最近のはわからないですけど……藤岡弘、さんは僕もわかりますよ。最近のフィギュアとかスゴイですね。あ、あと『キン肉マン』のフィギュアとか載ってますね。『Berryz工房 VS Berryz工房』ではパロスペシャルとか出てきますからね! この舞台のおかげで、Berryz工房はパロスペシャルを掛けられるようになったという(笑)。
仙石 あー、みんなできますね~!
HH あのくだりもおもしろいですよね。
元帥 1つのギャグを、絶対1回では終わらせないぞ、というのも僕のこだわりであるんで、1回見ても、「もう1回見たいな!」と思わせる作りにしたいんです。そして2回目見ると「ああ、こことここがつながってたんだ、このセリフもそうなんだ、このセリフもそうなんだ!」とかね。あとは最初のシーンで、なんであの衣装だったのかとか、……DVDではそういうところも楽しんでほしいですね。
変わっていく脚本と元帥のアドリブ!
HH 仙石さんどうですか、元帥のお話を聞いて。
仙石 すごいです! やっぱり元帥さんが考えてることは奥が深いな~、っていうか、私達は渡された台本と、元帥さんの演出という中で、一生懸命演じるだけですけれども、元帥さんはこんなことまで全部考えているなんてすごいです! けいこの時も、元帥さんが台本とにらめっこして、頭をかきながら悩んでるんですよ。そうして、台本をいろいろ変更したりしてくれるんです。嗣永さんと私の、お姉ちゃんと妹っていう関係が、台本が直されるたびに、どんどん深くなっていったんですよ。それで嗣永さんと「うわ~、姉妹になっちゃったね~!」って喜んでました。
元帥 でも脚本の変更、変更ばっかりで、いちばん負荷がかかっちゃったのが仙石だったんじゃないかな。まあ僕はしょうがないとしても(笑)、仙石はその辺、たいへんだったね。
仙石 そんなことないですよ。元帥さんが悩んでると、「ああ、今また一生懸命考えてくれてる!」とメンバーみんなで話してました。元帥さんが、あんなに頑張ってくれてるんだから「私達もそれに応えられるように頑張らなきゃ」って。
元帥 すばらしい! 100点の答えですね!
仙石 (笑)。それにどんどんBerryz工房さんのキャラクターを生かした脚本、セリフになって、みんな素で楽しんでできたって言ってました!
HH Berryz工房に関しては、かなり研究したんじゃないんですか?
元帥 見られるものはできる限り見ました。それにちょうど舞台やってる最中、深夜の『よろセン!』にBerryz工房が出ていたじゃないですか。前日必ず見て、その時のネタは必ず次の日に僕のアドリブに入れるようにしてましたね!
仙石 (笑)。ほんとうに私、アドリブのやりかたとか、楽しさとかを、元帥さんに教えていただきました! すごいんですよ! 毎公演毎公演、全部違うアドリブで、お客さんをあおっていて、毎回会場から爆笑が聞こえてきて、舞台裏でBerryz工房さんといっしょに「今日は何言うんだろうね!?」って、盛り上がってました!
HH いきなり最初のシーンからそうですからね! 客席に下りていって、お客さんに「誰のファンなの?」とか話しかけたり!
元帥 あそこは重要なシーンなんですよ! これは普通の舞台じゃないんだということを、お客さんにわかってもらうという重要なシーンですから!! でも内心、元帥の最初のシーンは、お客さんに受け入れられるかどうか、毎回ドキドキでしたね。それに、いつも直前にアドリブとか考えますから、仙石とかはたいへんだったと思います。毎回、僕がアドリブをやっていって、舞台は“なまもの”なんだと、だんだんメンバーもわかってくれたようで、アドリブを入れたりしてくれるようになりましたね。でも、物語としてはBerryz工房の7人も仙石もセリフの中に伏線がたくさん張られていて、なかなかアドリブが入れづらかったかな。それに時間もいっぱいいっぱいだったんですよ。
舞台オリジナルの曲とかは、初回でしかフルコーラス歌ってなくて、2回目からは1コーラスだけになりましたしね。長くなりすぎて、削っちゃいました。というのもあって、彼女達が、あまり自由にアドリブができなかったというのが残念でしたね。開演してから、しまった、もっとアドリブできるような部分を作っておけばよかった、と思って……それで2回目からは、カーテンコールの時にBerryz工房メンバーによる、むちゃブリコーナーをつけたんですよ。それはDVDに全公演分入ってますんでお楽しみに!
というわけで、後半に続きます!
せんごくちゃん写真集 第1回 | ||
写真撮影で、仙石みなみちゃんは、劇中のせんごくちゃんをイメージして、いろいろな表情、ポーズを取ってくれました! その中から厳選した写真を大公開第1回! 特にモンキーダンスな写真はかわいすぎます。 |
楠本柊生元帥 プロフィール 演出家、脚本家、俳優。『ライヒス・リッターシリーズ』、『アラスタシリーズ』通常の演劇では見られない新たな舞台手法を目指している。またNHK教育テレビ『天才てれびくんMAX』の『日付変更船プッカリーノ』の脚本・出演を務める。最新情報はオフィシャルサイトを。 |
仙石みなみ プロフィール 1991年4月30日、宮城県生まれ。音楽ガッタスの一員であり、ハロプロ エッグのメンバーでもある。4月4日、5日に横浜BLITZで開催される『2009ハロー!プロジェクト新人公演4月~横浜HOP!~』に出演決定! |