2007-11-04
■[編集]批評する者が知っておくべき二つのこと
一つ。
評を公にすることによって裁かれるのは、対象となる作品よりは評者の趣味と見識だということ。
二つ。
才能ある者が心まで強いわけではないということ。
一つ目は佐藤亜紀氏の言葉。二つ目については例をあげて少し補足する。19世紀を代表する作曲家の一人であるマーラーが、批評家の攻撃を受けて自信を失ったことがある。このときシェーンベルクは批評家に抗議して次のように言っている。
あらゆる時代を通じて最大の作曲家の一人である人間を、創造の精神にとって唯一にして最高の報酬――つまりその芸術家が、自分への信頼から「私は間違っていなかった」と感じるときに見出す報酬――さえも奪われるところまで追い込んだことに対して非難されたとき、彼ら批評家はどう言い訳しようというのだろう。