[情報] 日朝友好京都ネット結成「自主的平和統一と北東アジアの平和安定のために!」
──日朝友好京都ネット 牧野一樹
日朝友好京都ネット結成
3月25日、日朝友好京都ネット(文化・学術・市民交流を促進する日朝友好京都ネット)が結成された。朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮と略す)の「人工衛星」発射に一喜一憂し、軍事的緊張が極度に高まりつつある時期に様々な妨害・非難を乗り越えて、京都の各界・各層の人士が参集し、結成された意義は大きい。
結成総会に出席した野中弘務・元官房長官は、「北朝鮮の人工衛星の打ち上げは、9月から開催される最高人民会議への祝賀であり、国威発揚を目的としたものなのだから静かに見守ろう」と発言した。そしてこの老兵は、自身の最後の仕事として、「アジアに残している戦後処理案件を解決したい」とも語っていた。私たちも朝鮮半島の自主的平和的統一と北東アジアの平和と安定に寄与していくと同時に、アジアの未解決問題、アジアへの贖罪の旅もすすめていかねば、と考えている。
そして願わくば私たちの税金が、麻生政権の派手なパフォーマンスの対価としてアメリカ国債の大量購入に消費されるのではなく、アジア共同体形成の原資として蓄積されることを願うものである。
北朝鮮バッシングとネオコンの退場
2002年9月の小泉訪朝以降、北朝鮮へのバッシングが大きなうねりとなり、「軍事・テロ国家」からの拉致被害者の救出を求める国民運動が展開された。この流れは、佐藤克巳(現代コリア研究所長)、櫻井よし子(ジャーナリスト)、西岡力(「救う会」副会長)をはじめとする日本版ネオコングループが演出し、北朝鮮包囲・国家解体のための日本の軍事力強化・核武装化を通した軍事的対峙まで吹聴・公言されるようになった。
これと連動した日本政府の経済制裁は、中国経由の北朝鮮からの食料品の輸入取り締まり、臨検の強化ばかりか、新日鉄・三菱商事系の子会社にも完全輸入ストップを厳守させ、子会社の解散へと追い込むまでに及んだ。
また、「人権擁護派」を自称する脱北者や、金銭目的のジャーナリストによる「金王朝暴露物語」が面白可笑しく語られ、朝鮮総聯の解体・追放を目的とした排外主義キャンペーンへと引き継がれ、日朝関連の各種友好団体・経済団体・朝鮮総聯傘下の組織は、運動の凍結・組織の実質的解体を余儀なくされていた。
そして5年。ネオコンを主導とするアメリカの単独行動主義(アメリカ式グローバル化)は、徹底した戦略的情報管理のもと「反テロ」・「人権」・軍事外交路線として展開されてきた。にもかかわらず、強引な軍事力行使に対する反感や、民族や宗教上の差異を踏まえないグローバル政治ゆえに、政権内部にすら齟齬をもたらし、政治破綻した。
今まさに、サブプライム問題に端を発した金融危機・世界同時不況で、アメリカの政治・経済は破局を迎えつつある。ネオコンは政治の舞台から退場し、アメリカの北東アジア外交は9年前のクリントン政権の2国間協議を軸とする政策へと舞い戻り、まずは北朝鮮への経済制裁の解除、「テロ国家」指定がはずされ、「核」所有国家・北朝鮮の認知が行われ、2国間協議のテーブルが用意されつつある。
福田政権はこの線に則って08年8月、日朝2国間実務者協議を再開し「朝鮮半島の非核化と拉致の再調査」というレールを敷いたが、麻生政権に移行してからは交通がとだえた。麻生政権下では、憲法改悪・日本の軍事大国化を緊急の命とする安倍式ネオコン路線がまたぞろ首をもたげ、オバマ政権では死語となった「テロ」という言葉が、この国ではいまだに幅を利かせ、反北朝鮮キャンペーンに活用されている。