二次補正予算が可決され、一部の自治体では定額給付金の支給開始され、高速道路の料金の大幅値下げ等を実施している。それ以外にも、雇用機会創出や出産・子育て支援の拡充が盛り込まれており、その中には緊急措置に3万6千円の子育て応援特別手当というものがある。しかし、その内容には疑問に思うことばかりだ。
二次補正予算の内容に2,400億円の「出産・子育て支援の拡充」が盛り込まれている。前回の記事でも書いたが、妊婦の健診を14回無料にするものや子育て支援サービスの緊急整備、中小企業の子育て支援促進も盛り込まれている。そして、今回注目したいのが、「子育て応援特別手当」だ。
一見、子どもがいる家庭なら定額給付金のように一律に支給されそうな手当だが、条件がある。支給対象になるのは平成14年4月2日から平成17年4月1までの間に生まれ、第二子以降である児童だ。つまり、今年4歳~7歳になる児童が対象(小学校に上がる前)で、一人っ子ではない家庭に手当が支給されるというわけだ。だから、年齢が当てはまっていても一人っ子だと手当はもらえないし、三人の子どもがいる場合でも年齢が当てはまらないなら、支給が対象外ということになる。そして、長子が高校卒業(18歳)してしまい、第二子に4歳児がいても対象外になる。なぜなら、第二子以降の判定は高校卒業までの子どもを基準としているためだ。
定額給付金と同じようなところは、条件に当てはまっている家庭なら、裕福であっても支給されるというところだ。しかし、本当に手当を望んでいるのは母子家庭や、父子家庭、交通遺児等の両親がいない家庭などのではないだろうか。
母子家庭の大変さは今に始まったことではない。そして、今月の一日には母子加算手当が廃止になり、ますます母子家庭が苦境を強いられることになった。これは15歳以下の子どもがいる母子家庭に支給されていたもので、打ち切りになった背景には、対象となる母子家庭が受給できる生活保護費が、それを受けていない母子家庭の平均収入を上回っていたことだ。また、児童扶養手当の問題も残っている。これは平成20年4月に施行予定だったもので、政府は受給期間から5年を超える場合に最大2分の1を削除するという方針を示した。民主党が削減の撤廃を求め凍結という形に落ち着いたが、今問題になっている非正規や低賃金で働かせるという問題などで、母子家庭の収入は依然として改善する兆しは見えない。
また、子育て応援特別手当の支給にも大きな問題があるように思う。なぜなら、支給先は支給対象になる子どもの世帯主であり、支給基準日の今年の2月1日に住民基本台帳が置かれている場所になる。それ以降に離婚してしまった場合や、離婚調停中で母子ともに別居中は世帯主に支給されることになる。つまり、子育てをしていない父親に支給される場合もありえる。また、この手当は永続的ではないらしく、申請期限は各地町村で申請を開始日から6ヶ月間だ。
子どもを育てるのは金がかかる。それは仕方のないことだ。子どもの数が多ければ大変だと思うが、一人育てるのも、二人育てるのも大変なのは変わらないし、どの年代の子どもを育てるにも金はかかるだろう。そして、この国では子どもを生むにも金がかかるのだ。この手当は一応少子化対策としているらしいから、驚くばかりだ。
(編集部:吉岡 輪)
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