(cache) 大阪－串本間、釣りに便利な夜行バス運行

大阪－串本間、釣りに便利な夜行バス運行

　和歌山県内有数の磯釣り場があり、多くの釣り客が訪れる串本町と、大阪市内をつなぐ高速夜行バスの運行が始まった。事業主体は、大阪の釣り愛好者でつくる「串本なんたん友の会」（楢木正信代表）。週末に２便運行する。11日早朝、串本町に第１便が到着。乗客は「目覚めてすぐに釣りができる」「帰りが楽になる」と喜んだ。地元関係者は「誘客につながる」と地域活性化に期待している。

　楢木代表（57）は、大阪市の建設業社長。25年ほど前、社員に連れられて串本町潮岬でイシダイを釣ったのをきっかけに、串本の海にほれ込んだ。「自然がいっぱいで、海のきれいさと青さがたまらない。潮風を吸うだけで気持ちがいい」と、いまも月２回ほど通う。

　以前あった「釣り列車」と称される夜行列車がなくなり、車で訪れているが、釣り後は疲労がたまるため、帰り道の長距離運転に不安を持っていた。同じような考えの人も多いと思い、夜行バスを考案。過疎化が進む串本町を活性化させたいという強い気持ちもあり、今年１月、同会を設立した。

　会員は、大阪を中心に、釣り仲間やダイバーら約80人。同会が事業運営し、大阪緑風観光の「はとバス」（49人乗り）を走らせる。２月には、大阪や串本で夜行バス運行を知らせるチラシを配った。

　この日は、釣り客ら約30人が乗車。同町潮岬の瓜田渡船前では、第１便の到着を歓迎して、町と町観光協会から楢木代表に花束が、乗客全員にトルコのお守り「ボンジュック」やステッカーが贈られた。町商工観光課の堀口徳弘課長（57）は「串本を中心に訪れてくれるのでありがたい。観光客も含め、来町者が増えるのを期待している」と話した。

　釣り客は「寝て帰れると思うと、釣りだけに集中できる」と喜び、釣り場の情報交換をしながら、それぞれ希望するポイントで下車していった。大阪市の大工、小宮亘さん（49）は「串本が身近になった。今日は息子と釣りを楽しみにきた」。宿泊施設に１泊し、周辺を観光する家族もいた。

　楢木代表は「いろいろな利用の仕方があると思うので、一般や帰省客も気軽に使ってほしい。細く長く、ずっと走らせていきたい」と話している。現在、特定非営利活動法人（ＮＰＯ法人）の認可を申請中。ダイバーにも利用しやすいようにするため、到着時間や受け入れ態勢などを今後検討していくという。

　バスは、高校生以上が片道３５００円、往復６８００円（中学生以下はそれぞれ半額）。毎週金、土曜の午後10時にＪＲ大阪駅前を出発。ＪＲ天王寺駅前と地下鉄谷町線出戸駅前を経由し、午前４時～５時、串本に着く。串本では渡船店の前など９カ所で停車するが、途中下車の相談にも応じる。帰りは毎週土、日曜の午後２時半に樫野埼駐車場を出発し、午後８時にＪＲ大阪駅前に到着する。

　問い合わせは、串本なんたん友の会（０１２０・１５８・９４１）へ。

【高速夜行バスで訪れた釣り客ら（11日午前４時半ごろ、和歌山県串本町潮岬で）】

(2009年04月11日更新)