ブエナ快勝、歴史的名牝の道歩む/桜花賞
<桜花賞>◇12日=阪神◇G1◇芝1600メートル◇牝3歳◇出走18頭
ブエナビスタ(栗東・松田博)が単勝1・2倍の断然人気に応え、歴史的名牝への道を踏み出した。4角16番手から直線一気の差し切り勝ち。外からは冷や冷やものに映った勝利だったが、安藤勝己騎手(49)にはまだ余裕があった。ダービーには向かわず、オークスで2冠を狙う。
残り50メートル、ブエナビスタがついに先頭に躍り出る。7万人の悲鳴が、大歓声へと変わった。坂上で1馬身まで詰めた前との差が、なかなか詰まらなかった。どうだ! 届くのか! 不安と期待が入り交じった空気の中、必死の抵抗を試みたレッドディザイアを、最後は力でねじ伏せた。「強かった」。派手なガッツポーズこそなかったが、安藤勝はしっかりとその強さをかみしめた。
桜舞う仁川のターフで、新たな伝説が生まれた。4角16番手。直線入り口で先頭との差は10馬身以上あった。並の馬なら絶望的な位置取りから、大外一気を決めた。「すごい外を回っていたからね。力かな」。単勝支持率は67・5%。桜花賞が18頭立てになった87年以降で最高の支持を寄せたファンに、最高のパフォーマンスで応えた。
周りの目には冷や冷やものに映った勝利かもしれないが、あん上にはまだ余裕があった。「勝利を確信したのはゴール前だけど、並んだときには勝てると思った。長く脚を使えるのは分かっていたから」。ゴールの瞬間、ちらりと内を見やったのは、自らの進路を確認するため。最後は手綱を抑える余裕もあった。
一見、強引に見えた競馬も、勝利のための最善策だった。前日までは作戦を模索していたが、レースの前に心は決まった。導き出した結論は、ブエナの力を信じること。「後ろから外が回った方が安全だ。馬が強いのは分かっていたから」。パドックでは迷いの晴れた笑顔で馬にまたがった。
ドバイ遠征中の3月28日に49歳になった。49歳16日での桜花賞制覇は、伊藤勝吉元騎手の48歳9カ月23日を69年ぶりに更新するクラシック最年長。衰えを知らぬ鉄人も、ブエナの強さだけには舌を巻く。「ダイワスカーレットとはタイプが違う」と比較は避けるが、「(スカーレットよりも)乗りやすいし、この時期の3歳馬でこれだけ精神的にしっかりしている馬はいない」と称賛を惜しまない。
歴史的名牝への歩みを踏み出した。「距離はもっとあった方が競馬はしやすい」。1600メートルの桜花賞を乗り越えたことで、オークス、そしてその先に続く牝馬3冠が、はっきりと見えた。「ダービー? それは分からないが、精神的な強さは男馬以上のものがあると思う」。まさにディープインパクトの再来だ。【鈴木良一】
[2009年4月13日8時16分 紙面から]
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