昨年末に閉園した倉敷チボリ公園事業を検証するシンポジウムが11日、倉敷市の倉敷労働会館であった。市民約80人が参加。「レジャー施設は県や倉敷市の仕事ではなかった」として、推進した県、市の根本的責任を問う声が上がった。集会は事業破綻(はたん)の総括を徹底的に行い、責任の所在を明らかにするよう求める宣言を採択した。
市民グループ「『チボリ』に反対する県民の会」と「チボリはいらない倉敷市民の会」の主催。岡田雅夫・岡山大副学長(行政法学)をコーディネーターに5人が議論を進めた。同事業への公金支出返還などを求めた訴訟の山崎博幸弁護団長は「判決の多くが事業の公益性を疑問視しながらも議会の承認などを理由に、公金返還を認めなかった」と分析。「事業は終わったが、投じられた数百億円の公金はどこへいったのか。法的責任は問えなかったが、政治的責任をとった人がいないのはまことに残念」と話した。会場からも「推進した政治家は謝罪してほしい」との意見が出た。
岡田氏は「行政財産を食い物にしようと工夫する人はこれからも現れる。そうならないように議会を活性化させ、有権者もそういう目で議員、首長選挙に臨んでほしい」と締めくくった。
集会宣言は「私たちにとって最大の課題は、高価な代償を払ったチボリの教訓をどのように生かすか」だとして、知事の政治的責任をはじめ、県議会、県幹部職員の責任、さらには「チボリ破綻の現実を県民読者にどう伝えようとしたのか」として、ジャーナリズムの在り方も問われてしかるべきだと位置づけた。【井上元宏】
毎日新聞 2009年4月12日 地方版