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発砲も化学兵器使用も辞さない無法行為を豪州政府は「英雄」扱いしている
捕鯨船10隻を沈めた「環境テロリスト」シー・シェパードの過激な「海賊行為」
(SAPIO 2008年3月12日号掲載) 2008年3月24日(月)配信
また、クジラの生態系の保護を求める声が強い半面、クジラの過度の増加を危惧する声もある。日本鯨類研究所によると、鯨が捕食する魚類の総量は、年間2億8000万〜5億tになるという。人類が食する漁類の量は、全世界の漁獲高を合計するとおよそ9000万tで、クジラは人類の3倍以上も「さかな」を食べているのだ。捕鯨を禁止し、急速にクジラの個体数が増加したことで、イワシなどの小魚やその餌となる生物の減少が指摘されている。南極海のシロナガスクジラは、捕食期に1日3500sものオキアミを食べることが知られ、オキアミの姿が著しく減っている海域もでている。クジラのような生態系の上位にある種の過保護は、海洋生物全体に悪影響を与えかねない。日本が調査捕鯨の主な対象としているミンククジラは、その雑食性と繁殖力の強さから、現在、およそ80万頭まで増加しているといわれる。
また、日本近海でもクジラが増加し、06年には、福岡と韓国の釜山を結ぶ高速フェリーがクジラと衝突する事故が6件も起こり、船の安全航行を脅かし始めているのだ。
現在、日本は海洋生物全体の生態系を考慮した捕鯨の推進を提案しているが、目先の環境保護、動物愛護を優先する勢力により、国際ルール改定までいたっていない。
長期的展望に立ったクジラの生態系管理が必要であろう。魚食文化を持つ日本人にとって、クジラの増加が、小魚の生態系にまで影響を及ぼすのでは大問題である。反捕鯨国の欧米人にとっては、日本人の泣き声は、クジラの鳴き声より小さくしか聞こえないとすれば、日本政府は事なかれ主義で沈黙していてはいけない。
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