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発砲も化学兵器使用も辞さない無法行為を豪州政府は「英雄」扱いしている
捕鯨船10隻を沈めた「環境テロリスト」シー・シェパードの過激な「海賊行為」
(SAPIO 2008年3月12日号掲載) 2008年3月24日(月)配信
テロ対策のスペシャリストが 調査捕鯨船に乗船
反捕鯨活動には、多分に政治的意図を感じる。昨年12月に行なわれた豪州の選挙では、捕鯨には反対ながら国際協調路線をとるハワード氏を抑え、捕鯨反対強硬論を唱えるラッド氏が首相となった。同国では環境保護論者の力が強く、政策論の中に捕鯨禁止が持ち出されている。また、豪州の沿岸部では、年間160万人の観光客がホエールウォッチングに訪れ、およそ300億円の経済効果をあげている。そのため、沿岸部の票を獲得するには捕鯨反対を声高に訴える必要があった。ラッド政権は、選挙で反捕鯨を掲げ、日本の調査捕鯨に厳しい対応を取り、反捕鯨テロリストの無謀な活動を容認した。
対する日本の調査捕鯨船は、昨年、乗組員が負傷したことから、準備を怠ってはいなかった。母船である日新丸に2人の海上保安官を乗船させていたのである。この海上保安官はSSTと呼ばれる特殊警備隊に所属するテロ対策のスペシャリストである。SSTは、1992年にフランスから日本に向けて再処理済みプルトニウム輸送が行なわれた際、海上保安官が輸送船「あかつき丸」に乗り組み警戒にあたったことを起源とする。
SSTの隊員は、シー・シェパードの活動家が侵入した第二勇新丸には乗船していなかったが、現場に急行し、シー・シェパードの再度の攻撃に備えるとともに、不法侵入、暴力行為、器物破損などの犯罪の捜査と証拠の収集を行なった。第二勇新丸は、日本船籍のため船上での犯罪行為は日本の法律により裁くことが可能である。日本での立件については、外務省、水産庁、海上保安庁、警察庁の方針がそれぞれ異なり、進捗していないが、海上保安庁による捜査は、調査捕鯨船に対する不法行為を黙認していた豪州政府に対してもプレッシャーとなったようだ。再度、日本政府から活動家への法的措置を求められた同国政府は、連邦警察に捜査を指示した。
海に関する国際条約の集大成である「国連海洋法条約」の定義では、シー・シェパードのような活動を「海賊行為」としている。公海上で船舶に対し、私的な目的のために行なうすべての不法な暴力行為は海賊とみなされるのである。海の秩序を維持するためにも動物愛護を騙った反捕鯨テロリストを海賊として裁くべきである。
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