蒲容疑者のように、謝礼金目当てに情報提供を持ちかける人間が存在するのも事実だ。
ジャーナリズム論を専門とする立正大文学部の桂敬一講師は「メディアにとってネットや内部告発は情報を得る大きな武器になるが、きちんとした裏付け取材なくして、真贋(しんがん)の判断はできない。扱う情報が増え、目先のネタを追いかけるのに苦労している感じがする。生き残りをかけ、『とにかく受ける情報を出していこう』という安直な発想がメディア全体にあるのではないか」と話す。
メディアでの「証言」をめぐっては、「週刊新潮」が1〜2月に連載した「朝日新聞社襲撃事件の実行犯手記」をめぐる騒動が記憶に新しい。この手記は、実行犯を名乗る男が新潮社に手紙を送ったことがきっかけとされているが、朝日新聞が「虚報」と反論するなど波紋を広げた。
「どのような背景を持った人間が、どのような意図で情報を提供するのか。特ダネであればあるほど、慎重に見極めないといけない。それができなければ報道の信頼性を損なうのはもちろん、真の内部告発者の協力も得られなくなってしまうだろう」
桂氏はそう警鐘を鳴らしている。
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