CM1本500万円也、選挙ビラも格高@ソ金で受注─
「早期解散を」の社説の裏でソロバンをはじく 新聞・テレビの総選挙ビジネス=武冨薫と本誌政界特捜班
(SAPIO 2008年11月12日号掲載) 2008年11月21日(金)配信
取材対象者に広告をもらい見返りに記事で陣営引き締め
政党や候補者と深い利害関係で結ばれた新聞、テレビに、「公平」な選挙報道ができる道理はない。
新聞社は選挙が近づくと市役所や警察回り担当の支局記者を動員して各陣営に張り付かせる。とりわけ、「裏選対」と呼ばれる業界団体対策や系列地方議員への票の取りまとめ担当者には、支局長など幹部が日頃から食い込んでいる。
支局長経験がある全国紙の元政治部次長は、そこで営業活動≠ェ行なわれる実態をこう明かす。
「選挙情勢は候補者本人より裏選対の人間の方がよくつかんでいる。そこから情報を得るのは当落予測のために欠かせないが、営業サイドの依頼で広告を出してもらえるように裏選対に働きかけをすることも出世のためには必要になる。先方からは、広告を出す見返りに対立候補に追い上げられている≠ニいう記事を書いてくれと頼まれることが多かった」
選挙では、優勢と見られると、どうせ勝てる≠ニ後援会組織が緩み、思わぬ敗北を喫することがしばしば起きる。それを防ぐために、「追い上げられている」という報道で陣営を引き締めようという、候補者と記者が組んだ情報操作なのだが、選挙中盤にはこの手の記事が実に多い。こんなものは、もはや報道でも何でもない。
この9月、各紙は「衆院選『10月26日』へ」(読売)、「来月26日 総選挙へ」(朝日)、「10月3日、解散濃厚」(産経)などと一斉に1面で報じ、それが外れると、
〈総選挙はいつ? 出番待つポスター掲示板山積み〉(読売10月3日付)
〈若手議員「もう事務所借りた」 解散延期「資金もたぬ」〉(産経10月4日付)
など、こぞって「早期解散」を促す報道をしている。
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