【社会】近藤受刑者が服役中に病死 住銀支店長射殺で短銃所持2009年4月9日 朝刊
名古屋市千種区で1994年、住友銀行(現三井住友銀行)名古屋支店長の畑中和文さん=当時(54)=が射殺された事件で、事件に使われた短銃を所持していた銃刀法違反などの罪で実刑が確定し、岐阜刑務所に服役していた近藤忠雄受刑者(87)が、1月に病死していたことが分かった。愛知県警幹部が明らかにした。当初は支店長殺害を認めながら、後に否認に転じた。事件は今年9月14日午前零時に時効となる。 事件は94年9月14日午前7時20分ごろ発生。千種区法王町のマンション10階に住んでいた畑中さんが、自室前のエレベーターホールで頭部を短銃で撃たれ死亡しているのが見つかった。 県警によると、近藤受刑者は同年11月、大阪市の同銀行本店を訪れた際に短銃と実弾を持っていたとして、銃刀法違反容疑の現行犯で大阪府警に逮捕された。短銃を鑑定した結果、射殺事件の銃弾と痕跡が一致。府警の調べにいったん「強盗目的で自分1人でやった」と自供した。
住銀への恐喝未遂容疑などで再逮捕した愛知県警特捜本部は、マンションへの侵入方法や単独犯との供述に疑問点が多く、実行犯がほかにいる可能性もあるとみて慎重に捜査。近藤受刑者は後に「大阪で話したことはデタラメだ」「短銃は3人組に調達を頼まれ、事件後に返してもらった」と否認に転じた。 近藤受刑者は銃刀法違反のほか、住銀頭取宅に射殺事件の犯行をほのめかす脅迫状を送り付けて融資を求めた恐喝未遂や、別の強盗致傷など計5件の事件で逮捕、起訴された。計14年の実刑判決を受け服役し、今年6月に出所予定だった。
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