CM1本500万円也、選挙ビラも格高@ソ金で受注─
「早期解散を」の社説の裏でソロバンをはじく 新聞・テレビの総選挙ビジネス=武冨薫と本誌政界特捜班
(SAPIO 2008年11月12日号掲載) 2008年11月21日(金)配信
文=武冨薫(ジャーナリスト)と本誌政界特捜班
総選挙の日程が決まらない中、大マスコミはこぞって、候補者たちの選挙事務所経費がかさんでいることや、スタッフの疲弊、選管の困惑などを報じている。
実は、早期解散を待ち望んでいるのは他でもない彼ら大マスコミである。なぜなら選挙は非常に大きなビジネスチャンスだからである。
総選挙投票日の午後8時、TV各局の選挙特別番組が始まる。開票作業開始直後の9時過ぎには、開票率ゼロの段階で、最初の当確情報がテロップで流れる。「ゼロ打ち」と呼ばれ、番組を盛り上げるお決まりのシーンだ。
なぜ、そんなに早く当落がわかるのか。
新聞、TV各局は体育館などの各開票所に各社数人の偵察員を送り込み、双眼鏡で開票状況をウォッチさせる。
作業台には候補者ごとに投票用紙が500票1束で積み上げられていくが、開票開始直後は、投票用紙を開いていく選管の作業員の手元を1枚ずつ直接双眼鏡で覗き込み、1分、5分、10分後の段階でそれぞれ何票対何票と数えていく。その数字を各社の選挙本部に伝え、有力候補の票の出足が予想通りに多ければ、開票5分足らずで「当確」と判断する。新聞社と系列TV局一体の作業だ。
予測が外れることも少なくない。麻生首相は83年の選挙で落選を経験したが、当時、NHKや新聞各社が「当確」を打ち、逆転負けして「事務所にお詫びに行った覚えがある」(地元・福岡のベテラン記者)という。さらに前回05年の総選挙では当確の誤報が20件以上も出た。
「正確、迅速」が報道機関のモットーのはずなのに、各社は数時間後に結果が出るにもかかわらず、正確さを犠牲にしてどこが先に当確を打つかの報道合戦を繰り広げるのである。まるで予想屋だ。
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