CM1本500万円也、選挙ビラも格高@ソ金で受注─
「早期解散を」の社説の裏でソロバンをはじく 新聞・テレビの総選挙ビジネス=武冨薫と本誌政界特捜班
(SAPIO 2008年11月12日号掲載) 2008年11月21日(金)配信
当確争いがエスカレートするのは、そこに莫大な利益がからむからだ。民放キー局の編成部門幹部の話。
「選挙特番のCM料金は視聴率だけでは決まらない。代理店やスポンサーは、どの局が当確情報を早く打ち、議席予測が当たったかを採点しており、その評価が次の選挙特番の時にCMを出す基準になる。だから新聞社や系列地方局をフルに使って社運を賭けて取り組む」
CM料を稼ぐための「ゼロ打ち」なら、報道というより博打ではないのか。
広告不況の中、新聞、TV局にとって選挙特需≠ヘ喉から手が出るほど欲しい。特番のCM料だけではなく、選挙期間中、全国ネットでバンバン流れる政党CMは、15秒1本で「300万〜500万円」とされ、新聞の全国版モノクロ全面広告料金は読売も朝日も1回約5000万円前後だ。
過熱する選挙報道に煽られるように、政党の広告宣伝費は増え続けている。自民、民主の2大政党だけを見ても、郵政選挙の05年の約67億円から、統一地方選と参院選が行なわれた07年には約153億円へと2倍以上になった。そのほとんどは税金(政党交付金)だ。
政党別にみると、07年には民主党が約95億円と自民党の約49億円より多い。だが、自民党は「消えた年金」問題が争点となったその年の参院選の期間中に、政府広報予算で「年金記録問題への対策」のチラシ3000万部を新聞折り込みで配布するなど、全省庁で約1000億円といわれる政府の広報財源を握っている強味を見せつけた。
2大政党が広告宣伝費で張り合うのは、新聞、テレビの思う壺であり、各社はいかにそのカネを引き込むかに血眼になる。
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