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なっちゃんの小学校生活(1)

2009年4月9日

  • 筆者 兵藤ゆき

 4月、桜満開のとある日曜日、なっちゃんが通うことになった東京の私立中学校の入学式があった。

 入学式の数日前、お祝いを届けに彼女の家に行ってきた。

 彼女は真新しい中学校の制服を見せてくれた。

 赤いリボンが初々しい制服だった。

 あれを着て、入学式に行ったんだなあ…。日本に帰って来てから、もう4年半、彼女も立派な中学生になりました。

    ◇

 なっちゃんとは、彼女がまだ2歳の頃、ニューヨーク(NY)の日系スーパーマーケットで知り合った。お父さんの仕事の都合で1歳の頃からNYで暮らしているとのことだった。

 その頃うちの家族も、夫の留学先NYに暮らしていた。我が家のひとり息子とは丁度同じ歳で、知り合った時から仲良くコロコロとよく遊んだ。

その後、なっちゃん家族は私たちより3年ほど先に、彼女が8歳になるちょっと前に帰国した。

 なっちゃんはNYにいる頃、幼稚園も小学校も現地校(英語で授業を行う学校)に通っていた。

 アメリカの学校制度は、通常、キンダーガーテン(日本でいう幼稚園の年長組)がエレメンタリースクール(日本でいう小学校)に付属していて、5年生で終了し、その後、ミドルスクール(中学)に進む。

 なっちゃんはエレメンタリースクールの2年生を終了(通常6月末で終了し、2カ月半程の夏休みをはさんで9月から新年度になる)してから日本に帰国したことになる。

 日本へ帰ることが決まったとき、なっちゃんのお母さんは、彼女の学校をどうしたらいいか思い悩んだそうだ。

 NYの現地校でとても楽しそうにやっていた。

 友だちもたくさんいたし、英語だけの授業でもなんの問題もなく、むしろ常にトップクラスにいるような子だった。

 日本での住まいは東京の港区に決まったのだが、このまま英語ベースの学校、たとえばインターナショナルスクールに通わせた方がいいかもしれない…お母さんはそう思い、なっちゃんの気持ちを聞いてみた。

 と、意外な言葉が帰ってきた。

 「私は日本人だから、帰国したら普通の日本の小学校に通いたい」

 お母さんは早速、NYからインターネットを使って小学校のリサーチを始めた。

 港区の公立小学校は、学校選択制(通学区域の学校《指定校》、または隣接校から学校を選べる)をとっていた。

 インターネットの情報で、まず、家から近いことを第一条件に、あとは学校の規模(大き過ぎず、小さ過ぎず)、施設などを考慮して、2つの学校に絞り込んだ。

 日本に帰って来たのは2004年7月の終わり。

 すでに夏休みに入っていたが、絞っておいた学校にお願いして見学させてもらったり、近所に住む小学生を持つ父母たちに話を聞いたり、実際通っているという子どもたちの話も聞いたりした。

 このあたりの小学校には、なっちゃんと同じように、帰国子女や、外国人もクラスに数人いるところが多いという情報も得た。

 そして、選んだ学校にお願いに行ったのが、8月下旬。

 なっちゃんの担任になる先生は、

 「これは参考までに差し上げるだけで、やってもやらなくても、どちらでもいいですよ」

 と、なっちゃんに夏休みの宿題を渡してくれた。

 「このあたりは、転入出が多い地域なので、転校生に対しても子どもたちはとても慣れていますし、帰国の子や、外国の子にも慣れていますから、安心してください」と続けた。

 とはいうものの、初めての日本の学校生活、なっちゃんはNYと同じように楽しくやっていけるだろうか。なっちゃんもお母さんも、ドキドキしながら新学期を待ったのだった。

(次回に続く)

兵藤ゆき プロフィール

兵藤ゆき

兵藤ゆき(ひょうどう・ゆき)

名古屋市出身。血液型O型。深夜ラジオのパーソナリティーを皮切りに個性的なキャラクターでテレビ番組に登場し、その後エッセー、脚本、作詞、歌手、小説など幅広く活躍。1996年に長男誕生後、ニューヨークにで11年余り生活。2007年に帰国した。

主な著書に「子どもがのびのび育つ理由」(マガジンハウス)、「頑張りのつぼ」(角川書店)、「こどもを守る101の方法」(ビジネス社)などがある。公式ブログは、「子育ての話を聞かせてください―I'm proud of you,―」

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