瞳side
ごめんなさい。
もう心が追いつかない。
瑠美さんは人がイイのが好きだった。
でも、本当は、翔が好きなら、好きって言えばいいのに。
好きな人に遠慮しないでよ。
どうしてはっきりしてくれないんだろう。
瑠美さんは瑠美さんで自由奔放で羨ましい。
私もそうでありたかった。
なんだかもうやっていけない。
大好きなのに、どうしてこんな気持ちになるんだろう。
翔も御免ね。
私が足手まといだったね。
本当は、お別れとかじゃなくて、
冷却期間がほしい。
私、実は実家に帰りたいの。
ここから近いんだけどね。
ホームシックとかじゃないよ。
1人暮らし、もう飽きてきたの。
だから、本当は翔が引っ越してくるって聞いたとき
びっくりしてしまった。
嬉しかったんだけどね。
はっきり言えばよかったね。
本当最近辛くて。
翔に出会わなきゃ良かったって、
そんなことは思ってないよ。
瑠美さんがいたから、
私たちは張り合いがある。
翔にも、
瑠美さんは絶対に必要。
だからどうして別れたのか気になる。
今度瑠美さんに話してみようかな。
話すべきだよね。
差し出がましいのかもしれないけど。
分かりきってた。
翔が思ってること。
客として迎えたかったことくらいは。
そして、私の店を守り立てたいんじゃなくて、
もっともっと客を増やしたかったって事。
そのために、
今は修行中ってこと。
きっとそうなんだ。
優しい嘘なんてつかないでほしい。
私と一緒に働いて、
いつか私と一緒に店を持つなんて、
それだったら私はいない方がいい。
本気で今日で、
最後にしようと思った。
カフェもしばらく休みたい。
実家に帰って、ゆっくりしたい。
実家からも、若干仕送りがあるから
それでまかなえるんだ。
貯金もあるんだけどね。
今翔と別れてしまったら
きっと、人脈が減ってしまうのは分かる。
そういう問題じゃないけど。
人を巻き込むのだけは昔から御免だった。
どうか翔と瑠美さんが分かってくれますように。
ひどいことにならずに、翔と瑠美さんが早く仲直りしてくれなきゃ。
困っちゃうよ。
瑠美さんだって本当は凄く辛い思いをしていて
私のために一生懸命我慢しているのだって分かるから。
二人を別れさせたくないんだ。
だから、翔、分かってください。
私の気持ちをちゃんと分かってください。
私の事怒らないで下さい。
大好きだからこそ、離れたいんだよ。
私はこんな人間じゃないって言うのだけは簡単だよ。
人間にだって色々あるよ。
私は一人で抱え込みすぎだったんだけど、
やっぱそれを全部誰かに言ってしまうのは辛い。
ほどがある。
どうか、2人で、南の島へ行ってください。
気持ちが治まらないよ。
大好きすぎて。
涙が止まらないの。
自分の気持ちを素直に言える子だったら、自分が。
どんなに気が楽になれるんだろう。
―そう思いながら私は出かける支度をした。
<つづく>