週刊争論

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[573] 来年施行~今なぜ“憲法改正”国民投票法なのか

投稿者
WEB多事争論編集委員 吉岡 弘行
投稿日
03/27 07:00

 憲法改正の是非を問うため、2007年にすったもんだの議論がなされた末にようやく成立した「国民投票法」。
法律の施行は来年5月18日。あと1年あまりに迫っているのですが、そのことを一体どれだけの国民が知っているのでしょうか?
 マスメディアでとんと取り上げられなくなったこの法律について、最近の動きを総務省に取材してみました。
 総務省では、投票までの流れを解説するリーフレットを500万部作成し、そのうち499万1300部を来週月曜日から全国の都道府県・市区町村に発送するそうです。
残りの8700部は同じ月曜日に記者クラブに配ってレクチャーするほか、省内の関係部署に配布するとのこと。
 この法律をめぐっては、施行の前に問題点や課題を検討する衆参両院の「憲法審査会」が2007年の8月に設置されたのですが、審査会はただの一度も開かれていません。そもそも、審査会の運営規定や委員の定数さえ決まっていないというのです。
 ‘この国のかたち’を決める最高法規を変える法律がいよいよ運用されるのです。
本来ならば、国会の審議を通じてきちんと問題点を洗い出して、広く国民に知らせたうえで、今年の総選挙に臨まなければならないと思うのですが、そうした動きは全くないというのが実情なのです。
 
 総務省がマニュアルを作る一方で、そのマニュアルの元となる法律そのものの審査が一切おこなわれていないという滑稽な構図をもっとわかりやすく考えてみましょう。
 2010年5月18日にオープンする日本一のコンサート・ホールがあるとしましょうか。ホールを作った人は、これまで国内で開かれてきたコンサートとは違った斬新な企画をやろうとしています。
 ところが、音響設備や照明、トイレや非常口といったホールに必要不可欠な機能をどこのメーカーに頼んで、どう配置するのか全く決まっていません。
ホールの支配人や誘導係といったスタッフも未定ですし、何よりもこけら落としの企画の中身自体が決まっていないのです。
 観客の収容人数はある程度決まっていますが、企画の内容がわからないのでチケットもパンフレットも刷りようがありません。
 「じゃあ決まっていることは何なのか?」こんな問いに答えるために次のようなマニュアルが作られています。
 ①コンサートの中身は主催者の3分の2以上が賛成すれば決まります。
 ②チケットは全国各地で求めることができます。
 ③ただし、ホールの収容人数の半分しかチケットがさばけない場合は、
  コンサートは中止となりますので、予めご了承ください。

 トホホ・・としか言いようがありません。
 

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[576] Re:来年施行~今なぜ“憲法改正”国民投票法なのか

投稿者
松尾 E-MAIL
投稿日
03/27 11:30

国民投票法に思い入れの強かった安倍さんが参院選で惨敗して以降、
この話題は全く聞かれなくなりました。
年金や政治家の不祥事に多くの人が関心が示し、
憲法改正を争点の最優先にしようとした安倍さんの判断ミスだったと思います。
しかし、この話題では選挙は戦えないと政治家が判断した結果、以後誰も取り上げようとしません。
そういうところが、「政治家は選挙のことしか考えない」、
または、「信念がない」と思われる一因になっている気がします。
その点では、全くといっていいほど取り上げてこなかった、マスメディアにも問題ありだと思ってます。

しかし、憲法を変えたがっている、または変えてもいいと思っている人たちが多いことも事実で、読売新聞などは独自の改正案を掲載したこともありました。決して今始ったことではありません。
来年施行されるとなれば、おそらく今後10年以内に浮上するテーマになりうると考えます。
旬なテーマになった時、政治家やマスコミを含め、再びお祭り騒ぎをやるのでしょうか。
一時の感情に流されて、決めていいものなのか。
時の政権の思い入れの強さだけで変えていいものなのか。
現実やその時々の状況に右往左往して決めるのならキリがないし、
また現実に合わなくなったから、変えましょうということになりかねません。
訳も分からないまま事が進んで、後になって後悔しても取り返しがつかない。
そうならない為にも、あらかじめ手を打っとく必要があると思います。

9条などは、歴史認識や戦後のあり方を大きく変えるテーマになります。
まずは「この国をどうしたいのか」ということを考えるような土壌を作ることが大事だと思います。
普段から、メディアが問題提起していくことが大事だと思いますし、そういった役割を期待したいと思います。

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[578] Re:来年施行〜今なぜ"憲法改正"国民投票法なのか

投稿者
H.T
投稿日
03/27 19:45

小泉さん安倍さんの時にあれだけ騒がれた憲法改正問題も、今は何も報道もされません。この法案は国民の関心がなくなったうちに、投票率が低いうちに、憲法を変えてしまおうというのが見え見えという気がするのは私だけでしょうか。
確かに理屈としては国際社会の一員として日本も参加しなければといえば、そういう考えもあるかもしれません。しかしみんなが参加する戦争が正しいとは限らないのです!!私達の先輩方はそれで大きな大きな悲しみの歴史を刻みました。もうあんな戦争は二度としたくない。そうしてこの憲法を受け入れたのです。作ったのは誰にしろ、戦争放棄を記した憲法9条は日本が世界に誇るべき憲法です。こんなに素晴らしい憲法は世界のどこを探したってないですよ!戦争が愚かな事だという事はみんなわかっているのに..。そんな大事な事を多数決で決めてしまう事にも反対です。マスコミに頼るだけでなく、国民一人一人がもっと政治の動きに関心を持つべきです。権力をしっかり監視しなければ、無関心でいたら、気づいた時には大変な事になってしまいます!

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[580] Re:来年施行~今なぜ“憲法改正”国民投票法なのか

投稿者
αβ
投稿日
03/27 23:10

個人的にこの法案には関心が沸かなかったのですが、中身自体が伴っていないことに驚かされたのが率直なところです。立案のきっかけは憲法9条の改正でしたよね?

この法案に賛成したのは自民党の右派だけではなかったと思います。民主党にも支持する政治家が多かった訳ですから、選挙の際に、戦争をしない国を維持することを考えて投票するのであれば、政党云々以前にまず個々の候補の公約内容に注目する必要があると思います。国民投票法が可決されてしまった今、有権者一人一人にできることがあるとすれば、「投票」という行動自体をもう一度見直すことかもしれません。

余談になりますが、前回の参院選の際、久しぶりに投票に行きました。衆院選の際には事情があって日本を留守にしていたのですが、その分2007年の選挙にはこだわりを持ちながら投票所に足を運んだことを覚えています。NHKの海外版で「戦闘地域・非戦闘地域」に関する小泉元首相と野党の応酬を苦々しく見ていたこともあり、イラクから少しでも早く自衛隊を撤収させることに貢献できないものかと考えた末、とある候補と政党名を投票用紙に記入しました。その候補は無事当選、支持した政党も代表数を大きく伸ばし、予想以上の結果に思わぬ満足感を覚えたのを覚えています。選挙に無関心な人も、自分が支持する候補や政党が当選するか、代表数がどれ位増えるか、開票が終わるまで気軽に見届けるだけで随分と面白みが出てくると思います。地デジの効果もあって、開票速報も面白くなっているので、次回の選挙の際にはこだわりをもって投票されるのも良いかと思います。

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[581] Re[2]:来年施行~今なぜ“憲法改正”国民投票法なのか

投稿者
りんりん
投稿日
03/28 01:43

αβさんがおっしゃること、そのとりだとおもいます。
いま雇用の問題が一番で、景気対策をどうするかが総選挙の最大の争点かのように錯覚しがちですよね。
九条は戦争の歯止めです。改正には反対ですので、つぎの選挙では九条を改正するのかしないのかを基準に一票をとうじます。

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[596] 選挙のあり方も考える

投稿者
ton_paris E-MAIL
投稿日
03/30 02:11

少し話がそれるかもしれませんが、これは大切な話なので
小泉元首相の残した負の遺産は数多くありますが?最もひどいものは、総選挙という日本の方向性を決める重大な選挙を郵政選挙などとワンンテーマに限定したという大罪があります。
このときマスコミはこれと同じくらいの大罪を同時におかしました。わかりやすいというだけで、小泉手法をもてはやし、世論を小泉の方へ大きく誘導しました。これは事実です。もう一度あのときのことを思い出してみましょう。
郵政民営化で何が代わり、国民にとってどのようなデメリットがあるのか、今問題になっている、400兆を超える国民の資産が海外の金融機関に流れてしまうという危険についてどれほどの人が知っていたのでしょうか?

もちろん郵政事業にからむ官僚機構に結びついた既得権益と天下りによる無駄をなくすことは重要です。しかしこれらをきちんと分けて議論し何を変えて何を残すベキかの議論がきちんと行われたり報道されたとは思いません。反対派は守旧派、抵抗勢力で自分たちは改革派だから正しいという小泉竹中の論調をマスコミは支持しあおりました。

しかし問題なのはこのような短絡的で浅い議論のまま重要なことが決まられてしまうという現在の幼稚な日本の政治やマスコミの体質なのです。

郵政民営化選挙で獲得した議席は民営化法案を鵫巣ためだけの議席ではないでしょう。そのような基本的な事実をなぜあの当時マスコミは指摘しなかったのか?その罪は大きいです。
国民投票法案は(郵政民営化とは全く違う別のテーアにも関わらず)このような小泉元首相やそれに乗っかったマスコミによって演出された郵政選挙で自民党が獲得した300席という力でもって強引に可決したのです。

このような中で私たちは知らぬ間に自分たちの平和を守る最後の砦とも言うべき憲法9条をなにか訳の分からない力によってかえられようとしているのです。そのことを認識して、今度の選挙はトータルな政策や方向性、そして平和伊に対する強い信念をもった政党を冷静な目を持って選ぶべきです。郵政選挙の時のような愚行を政治家にも、マスコミにも許してはいけないと思います。

国民投票法が成立した経緯を忘れることなく、しっかりと今後の推移を見守り、危険な方向へ進まないよう監視することが、実は私たち自身の平和ととても深く結びついていることを忘れてはいけないと思います。

もう一度いいます。マスコミには2度と選挙のテーマを限定して報道するような愚行はやめてほしいと思います。

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[594] Re:来年施行~今なぜ“憲法改正”国民投票法なのか

投稿者
戸川
投稿日
03/29 20:57

2007年2月12日の多事争論、「ちゃんと投票率の上限というものを認めないでこんなことをやるというのは憲法を軽んずるものであるし、それより国民の意思を軽んじております。」という筑紫さんの意見に同意します。たしかに4分の1の賛成で改正された憲法というものは国民の意思の反映とはいえません。

また逆に多数を得たからといって、集団心理、感情、恐れや、まちがった情報で一時的に極端に国民全体が一方にふれることがありえるということも、考えなければいけません。

憲法は一度壊したら二度ともとどおりにはならないことも、考えなければいけません。

私たちは、傲慢さや、偽善性や、自己防衛のために正当化するところがあります。

私たち自身にできることは、疑問を持つこと、当事者意識を持つこと、懸命な判断とは何かと考えることです。注意深くなることです。

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[607] Re:来年施行~今なぜ“憲法改正”国民投票法なのか

投稿者
磯永征司 E-MAIL
投稿日
03/31 22:34

 自民党草案は出来ているので、準備は怠りなし。夢夢、お忘れなく。対抗して、九条の会が動いていることもお忘れなく。

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[620] 「自分が守られればいい」という改憲派

投稿者
YOHEI
投稿日
04/01 20:58

私は憲法を国の啓発キャンペーンにするのは、おかしいと思います。

環境やエイズとか薬物乱用防止なら、まだいいと思うんですが。

人それぞれの価値観の問題なので、国は投票用紙とか会場を作るのみで、あとは一切関わらない、それが筋なのではないかと思います。

とは言え、憲法を変えたくない人からは、改憲ありきの人たちが作ったんだから、「国民投票法そのものがいらない」という批判もあるし、改憲したいという人たちからは、「今まで変えさせなかった人たちはずるいんだから、制定したっていいじゃないか」という批判があるし、とにかく「変える変えない」という立場で、国民投票法の是非も大きく変わるし、難しいなとは感じる部分もあります。

たいていの改憲したい人が考えているのは、「自分が戦争に巻き込まれないための改憲」ではないかと、いま普通に安全保障や軍事を理論で語っている人とかを見ると感じます。

例えば、「北朝鮮のミサイルは脅威だ」と思っていても、自分から軍事に関わろうとしている人が、どれだけいるか未知数だし、最近、私のブログに「9条を変えたら、徴兵制になる」という主張をしたら、「そんなことで、護憲派の皆さんは危機を煽りたてるんですか。外国の例を見てもありえないですよ。おかしいですね。」という感じで冷笑するようなコメントが書き込まれましたが、実際に、そういう感覚の人が、たくさんいるのではないかと思います。

ただ忘れてはいけないのは、武器や兵器を向こうが使おうが、こっちが使おうが、人を殺傷するというのは忘れてはいけないことで、向こうが使おうとしたら、防衛することは大事だとしても、それ以上の余計なことをしないというか、一歩踏みとどまる必要があるように感じます。

その北朝鮮情勢が緊迫してますが、これによって、大変なことにならないよう、全ての人の命が守られるよう、国民が冷静に注視できるかどうかが、いま試されているのではないでしょうか。

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[628] 「憲法9条を世界遺産に」

投稿者
ton_paris E-MAIL
投稿日
04/02 02:16

という本をたまたま古本屋で見つけて読んでみました。爆笑問題の太田光さんと中沢新一さんの対談形式のものですが、面白い視点と切り口で憲法を考えています。私も二人の話に非常に共感を持ちました。
もともと世界は矛盾しているんだ。でも他の国のいわゆる普通の国の憲法は、その矛盾を切り捨てて現実的で一面的なものになっている。しかし日本国憲法はその矛盾をそのまま表現していて、だからこそ、現実にその矛盾にぶつかる度に大きな議論が巻き起こる。これがいいのではないか?
これが『普通の国』の憲法と同じになってしまったら、その議論さえおこらない。その方が逆にきけんなのではないか、面白くないではないか。。。。という感じです。

とにかくその視点も多様だし、憲法についての新しい発見もあり、かなり面白かったです。ニュースなどで一面的な議論ばかりを聞いていると本質がみえなくなるので、たまにはこんな本も読んでみてはいかがでしょう。
もちろんこの本にかかれている内容は特別な考え方の中の一つだということも考慮しながら、多少の疑いの目を持って読むことは必要だと思いますが。(本の中にも書かれていますが)

「憲法9条を世界遺産に」集英社新書

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[634] Re:「憲法9条を世界遺産に」

投稿者
WEB多事争編集委員 
投稿日
04/02 13:57

この本は筑紫さんも発売されてすぐ読んだようで、べた褒めでした。スタッフルームの筑紫さんの席の本棚にちゃんとありました。

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[641] 太田さんみたいに他のタレントさんも憲法についての発言を

投稿者
YOHEI
投稿日
04/03 02:59

私も素晴らしい本だと思います。

タレントさんは自分のイメージを大切にするので、政治的な話はしたがらないのに、太田さんはやっぱり偉いと思います。

太田さんの偉いのは、「左翼」とかイデオロギー的なものにとらわれた上での憲法改正反対論ではないということ。

本の中にも「都合の悪いものを隠そうとする風潮が気に入らない」ということが書いてあって、宮澤賢治を平和主義者として取り上げることを批判している部分がいいと思います。

あと攻められたとき覚悟しないといけないとか・・・

他のタレントさんも、改憲・護憲、知識のあるなしに関わらず、太田さんみたいに、事務所の制約があるのかもしれませんが、それでも発言してほしいですね。

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[637] Re:「憲法9条を世界遺産に」

投稿者
H.T
投稿日
04/03 00:05

私もこの本のタイトルだけは知っていましたが、まだ読んでいなかったので、この機会に読んでみたいと思いました。
憲法9条を世界遺産に、本当に申請したいです!憲法9条は世界に誇れる日本の宝物だと思います。

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