ニュース特報

2009年04月12日号

【検察と政治】
民主党、西松事件で第3者委員会初会合開く、本誌編集長のコメント



●産経新聞配信記事
 産経新聞は11日20時2分、「 西松事件で民主が「第三者委」 小沢氏の説明責任など検討」という見出しで次の記事を配信した
西松建設の違法献金事件で小沢一郎・民主党代表の公設第1秘書が逮捕・起訴された問題を検証する同党の有識者会議の初会合が11日、東京都内で開かれた。会議の正式名称は「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」とし、座長に飯尾潤・政策研究大学院大学教授を選んだ。政治資金をめぐる小沢氏の説明責任などを検討し、5月中旬をめどに報告書をまとめる。

 今後の会議では、事件自体に関する検討を行うほか、(1)政治資金に関する小沢氏と国会議員一般との比較(2)事件をめぐるメディア報道の問題点(3)検察、メディアのあり方−などを対象に議論する。

 小沢氏の資金管理団体「陸山会」が高額の不動産を所有している問題を取り上げるかや、小沢氏本人から直接、意見聴取するかについても協議していく。

 会議について、鳩山由紀夫幹事長は同日、「必要ならば党に厳しいことを考えている方を招き、議論してもらいたい」と記者団に語った。

●本誌編集長のコメント
「小沢氏秘書の裁判は歴史的な裁判となることは確実だ。造船疑獄の指揮権発動以来の『政治と検察』の対立となる可能性があるからだ。検察にとっては「刑事司法の独立」がかかっているのだ。

 民主党の「政治資金問題をめぐる政治・検察・報道のあり方に関する第三者委員会」と『小沢氏の秘書の裁判』とは直接関係ない。
 しかし、造船疑獄後3年くらいは検察庁に『疑獄捜査はもうできない』(朝日新聞)と言っていた検察官がいたのはまぎれもない事実だ。昭和32年、私自身「保守合同で保守は1本化した。社会党は政権を取れっこない。3分の1が限界、自民党がまとまっている以上、汚職摘発はできても、疑獄捜査で大物政治家逮捕は検察庁法14条がある以上できない」と聞いたのだから間違いない。
 以来検察は「刑事司法の独立を蹂躙された屈辱を、24年の歳月をかけ『田中前首相逮捕』でようやっと政治からの独立を回復した。」造船疑獄以前に戻したのである。
だから小沢氏の秘書の裁判は検察側が腰砕けにならない限り、田中元主首相の裁判に匹敵する裁判になると私は思う。

 周知のように捜査と処分権を検察が独占している。戦後日本を支配したGHQは「検察の独自捜査権」を取り上げる意向だった。担当者(米国弁護士)は「検察の帝人事件摘発が戦争への道を辿った原因と思い込んでいた」ようだからだ。
 私は昭和32、3年に「検察の独自捜査権」を認めてもらう打ち明け話を先人からしばしば聞かされた体験を持つ。
 検察のGHQ担当者がいかに苦労したか、日本の権力の象徴、憲兵、特高、思想検事のうち、憲兵、特高、思想検事はなくなったが、検察の仕組みが戦前と同じではやがて米国の利益に反するとGHQ側は考えていたという。

 もうそんなことに興味を抱いている人は少なくなってしまったが、私は検察独自捜査の語り部と自任している。私が認識している限り、戦後検察の語り部と評価できる人はいないからた。

 第3者委員会は関係者からヒアリングを行い、5月中旬を目途に報告書をまとめるとされている。お手並みを拝見させてもらおうと思う。
 5月中旬頃までには東京地検特捜部の西松建設事件の捜査終結の目鼻もついているだろう。東京地裁も公判前整理手続にするか、一般の政治資金規正法違反事件として審理するか、はっきりさせているだろう。後者の場合、第一回公判期日の指定もあるだろう。」

戻る