2009年4月11日15時2分
取材に答える松下正俊車掌=9日、大阪府内、飯塚晋一撮影
乗客ら107人が亡くなった05年4月のJR宝塚線(福知山線)脱線事故を起こした快速電車に乗務し、休職している松下正俊車掌(46)がJR西日本を相手取り、車掌としての復職などを求める訴訟を14日、大阪地裁に起こす。JR西が示した駅員への配置転換は「必要性がなく権利の濫用(らんよう)だ」と主張している。
訴状などによると、松下車掌は事故5日後に不眠などを訴えて入院、適応障害などと診断された。07年3月に退院し、現在は自宅療養中。
松下車掌は同年8月、主治医が作成した「就労可能な状態に快復しつつある」との診断書をJR西に提出。主治医は車掌として復職させるには、松下車掌がかつて勤務し、旧知の同僚の多い車掌区への異動などが必要と意見を添えた。しかし、JR西は駅の営業関係事務に就かせる方針を提示。理由について「疾病が乗務中に悪影響を与えることが払拭(ふっしょく)できない」「乗務員としての適性・能力に疑義がある」と指摘した。
これに対し車掌側は、乗務中の悪影響については「推測にすぎない」と反論。適性・能力については、車掌個人の責任を否定した国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の最終報告(07年6月)をふまえ、「疑義を抱かせる事実がない」と主張している。
JR西日本広報部は「提訴するという事実が確認できず、コメントできない」としている。(青田貴光)