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【社説】第2、第3の盧武鉉出現を防ぐため真実究明を(上)

 検察は朴淵次(パク・ヨンチャ)泰光実業会長から資金を受け取ったと明らかにした盧武鉉(ノ・ムヒョン)前大統領夫妻に対し、来週にも出頭を求め取り調べる方針を固めたという。歴代大統領としては、全斗煥(チョン ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)の両氏に続き、検察の捜査を受けることになり、大統領夫人が検察の尋問を受けるのは建国以来始めてだ。盧前大統領は自身の不徳の致すところと話しているが、大統領経験者のそんな姿を10年ぶりに目にする国民にとっては妙な因果だ。国の体面は話にならない。世界が大韓民国をどう見詰めているかを考えると赤面する。

 盧武鉉候補が2002年の大統領選当時、無名に近かった状況から強力なライバルを破って勝利したのは、それまでの政治の堕落と腐敗に憤怒を抱き、失望した大衆の期待を引き寄せることができた政治感覚によるところが大きかった。盧候補はそれまでの政界に向かって、「不正腐敗まみれの特権層」という鋭い批判を浴びせ、「希望のブタ貯金箱」というキャンペーンを展開し、国民のクリーンな資金で政治を行うという粋なキャンペーンも展開した。韓国の大統領が「韓国の現代史は正義が敗北し、機会主義が幅を利かしてきた屈折した歴史だ」という暴言を吐いたのも、過去の不正の延長線上にある発言だった。

 盧前大統領は任期末期の07年1月の新年記者会見で、「政経癒着は解消された。金を求めることも請託もなくなり、気楽になったという話を聞く」と語り、「密室」「側近」などといった言葉も消え、公職の透明性も高まったと指摘した。盧前大統領が国政運営で落第点を付けられながら、最後まで耐えることができたのは、国民が無能さに何度も失望しても、盧前大統領が政治的専売特許として掲げてきた「道徳性」だけは守られてきたと期待していたからだ。しかし、検察の捜査により、盧武鉉時代の柱だった道徳性の裏に隠れた偽善的な側面が次々と明らかになり、盧武鉉政権の5年は丸ごと崩れ去った。

 盧前大統領は検察の捜査を受けて以降、いったんは口をつぐんでいたが、検察が盧前大統領夫婦の執事役を務めてきた大統領府(青瓦台)の前総務秘書官に迫ると、真実の一部を語り始めた。夫人が総務秘書官に依頼し、朴会長の資金10億ウォン(約7400万円)を受け取り、借金返済に使ったという趣旨だった。朴会長は故郷で政治家、官僚、地方自治体首長のポケットに気前よくカネを差し入れていたとされるが、その汚点だらけの前歴から見て、一国の大統領が心を開き、友として付き合うべき人物ではなかった。それでも盧前大統領は任期中ずっとこのうさんくさい企業人との関係を清算できないまま、癒着関係を続けた。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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