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借金を返済できず、父娘が心中

ヤミ金業者、娘を風俗店で働かせ売春を強要

 借金を返済できなかった女子大生を風俗店で働かせ、売春を強要していたヤミ金業者が警察に摘発された。業者は問題の女子大生とその父親に、「死」という極端な選択をさせていたことが分かった。

 昨年11月28日、京畿道平沢市内の貯水池の近くで、イさん(当時52歳)が首をつって死んでいるのが発見された。イさんの大学生の娘(当時23歳)が、自宅で首を絞められて死んでいるのが発見されてから三日後のことだった。遺族は警察の調べに対し、「娘が借金を返済できなかったため、父親とケンカが絶えなかった」と話した。

 娘は2007年3月、インターネット・ショッピングモールを開設するため、友人のカンさん(24)とともに、ヤミ金業者のキム容疑者(31)から300万ウォン(現在のレートで約23万円、以下同じ)ずつ借りた。先払いの利子50万ウォン(約3万8000円)を除き、90日間に毎日4万ウォン(約3000円)ずつ、360万ウォン(約27万円)を返済する(年利345%)という条件だった。

 だが、イさんが借金をきちんと返せなかったため、キム容疑者らは負債額を500万ウォン(約38万円)に増やした上で、100日間に毎日6万ウォン(約4500円)ずつ、計600万ウォン(約45万円)を返済させるようにした。債務者が返済できない利子を元金に上乗せして再び融資するという手法だった。融資するたびに先払いの利子や手数料を支払わなければならない上、利率も上がるため、元金は雪だるま式に膨らむことになる。

 イさんの借金は1年間で1500万ウォン(約113万円)にまで膨れ上がった。キム容疑者らはイさんとカンさんに対し、「風俗店で働いて金を返さなかったら家族にばらすぞ」と脅した。

 その後、キム容疑者らはルームサロン(高級個室バー)のママのチェ容疑者(41)と共謀し、イさんらに対し、一人当たり1日に3人と性的な関係を結ぶよう強要した。イさんらが懸命に働いて借金を返そうとすると、今度は残った債権を別の風俗店に譲渡し、借金を清算できないようにした。チェ容疑者はルームサロンの客がイさんらに支払ったチップ(計1800万ウォン=約136万円)を横取りし、キム容疑者らと分け合っていた。

 耐えきれなくなったイさんは父親に助けを求めたが、父親も6700万ウォン(約507万円)まで膨らんだ借金の返済を肩代わりすることはできなかった。そしてついに父親は娘を殺害し、自らも命を絶った。

 ソウル地方警察庁の広域捜査隊は、新聞の報道でこの事件について知り、捜査に着手した。事件発生から4カ月後、ソウル市江南区新沙洞の風俗店で働いていたイさんの友人のカンさんを見つけ、事情聴取を行い、今月4日にキム容疑者の事務所を急襲した。

 警察は9日、イさんなど212人に金を貸し、年120-680%の利子を支払わせ、33億ウォン(約2億5000万円)の不当な利益を上げていたキム容疑者や、ルームサロンのママのチェ容疑者ら5人を逮捕するとともに、ヤミ金業者の従業員のヤン容疑者(33)ら13人を書類送検した。警察は、キム容疑者らが2007年から最近まで、ソウル市江南区ノンヒョン洞で違法なヤミ金業者を営み、借金を返せない女性らに売春を強要していた、と発表した。

イ・インムク記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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