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医療の危機と医療労働者の危機

2009年03月27日 09時42分27秒
テーマ:医療崩壊を防ぐために

まず、今後行なわれる「派遣村」的な相談会の情報です。


浜松 「トドムンド浜松派遣村」  3月29日(日)~30日(月)

  東ふれあい公園で開催。主催は生活保護支援ネットワーク静岡など。

  各種相談会、炊き出しほか。

  30日には市役所までのデモや生活保護の集団申請も行なう。

  (「トドムンド」とはポルトガル語で「みんな」の意)


東京 「反貧困フェスタ2009」  3月28日(土)

  千代田区立神田一橋中学校で開催。主催は反貧困ネットワーク。

  シンポジウムなどと共に、各種相談会、炊き出しも行なわれる。

  ※チラシをダウンロードすることができ、会場地図もそちらに載っています。

http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/festa2009/festa2009.html


埼玉 川口版派遣村 こまりごと相談所  4月19日(日)10時~14時

  川口駅西口前、川口西公園で開催。主催は川口市社会保障推進協議会など。

  労働、くらし、法律、生活保護、医療、子育て、介護、納税、多重債務の相談。

  フリーマーケットも開催。炊き出しも有り。


元BP@闘争中様からの情報提供で、次のような相談会もあります。


http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=15912

鹿児島派遣村実行委員会 29日から4月4日、同市ボランティアセンターで集中相談会、炊き出し無し


http://www.kajocentral.com/event/event.htm

山形29日 派遣切りやめろ!雇用を守れ!大相談会 炊き出し有り


http://mainichi.jp/area/shiga/news/20090326ddlk25040514000c.html

大津で28日、長浜は28、29日 /滋賀
労働・生活相談会と炊き出し



さて。昨日、今日と、テレビのニュースでも大きく取り上げられていますが、東京都の愛育病院が総合周産期母子医療センターの指定を返上することを都に打診したことが明らかになりました。この件についての東京新聞の記事をご紹介します。引用部分は青で表記します。



「総合周産期」返上を打診  医師確保困難で愛育病院

東京新聞  2009年3月25日21時44分

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009032501000996.html


 東京都から早産などハイリスクの妊産婦を24時間体制で受け入れる「総合周産期母子医療センター」に指定されている愛育病院(中林正雄院長)が、複数の医師による当直が困難なことなどから、都に指定の解除を打診したことが25日、都や病院への取材で分かった。

 愛育病院は必要な医師数が少なくて済む「地域周産期母子医療センター」への指定見直しを希望し24日、都に意向を伝えた。都は医療体制に大きな影響が出るため、病院側と協議している。

 愛育病院によると、15人の産科医のうち3人が子育てなどのため夜間勤務ができないという。

 今月中旬、三田労働基準監督署は労働基準法に基づく労使協定(三六協定)を結ばず、医師に長時間労働をさせていたとして、是正を勧告。これを受け病院側は「各医師に法定の労働時間を守らせると、医師2人による当直は難しい」(中林院長)と判断した。

(共同)



今日の紙面に掲載されていた追加情報もご紹介します。



総合周産期指定  愛育病院が返上打診

当直医不足  都は継続求める

東京新聞  2009年3月27日(30面)


(前略)


 同病院は現行の医師数で勤務時間を減らしながら総合センターを維持するのは困難と判断。新に夜間専門の非常勤医師を採用し、同センターの要件である「二十四時間の産科医複数勤務」を満たすことにした。

 しかし、夜勤が非常勤医師二人だけという日が生じるため、総合センターとして適切かどうか都に相談。都は「非常勤も問題ない」とし、総合センターを続けてもらう方針。

 ただ、中林院長は「ほかの都内の総合センターと異なり当院は母子型病院で、救命救急センターがない」とも述べており、都にさらに指定の是非について検討を求めている。

 総合周産期母子医療センターは、危険性が高い妊婦の出産に対応できる施設で、都道府県が指定。新生児集中治療室(NICU)や母胎胎児集中治療管理室(M-FICU)を備え、都内には九カ所ある。



この件については、「もしものときにも安心して出産できる場所がなくなってしまう」という点から問題にされることが多いのですが、この問題が起こった原因としての「安心して出産できる場所」を支えているのが産科医をはじめとする医療労働者の並外れた長時間過密労働だということへの注目が薄いように思います。産科に携わる医療労働者は、ほとんどがいつ倒れてもおかしくない状態にあります。つまり、今現在の「安心して出産できる場所」も、いつ崩れてもおかしくない薄氷の上のものであるということです。

労働組合としてはお恥ずかしいことですが、医療の分野は最も労働基準法違反の指摘が多くされている分野です。そもそも日本の医療は、労働者の犠牲の上に成り立っていたということです。これは単に「労働者としての権利」を犠牲にしてきたというだけでなく、健康や生命といったレベルでの「犠牲」です。そうした「犠牲」によって成し遂げてきたことは大きいのでしょうが、やはり異常なことであると言わざるを得ません。医療崩壊の危機は、そうした異常な「犠牲」を重ねてきたことが限界に達し、起こるべくして起こったということもできるかもしれません。

企業の営利追及のための過労死は許されないが、医療という尊い仕事のための過労死は許される、とすることはできません。その仕事の社会的評価がどうあれ、仕事のために人が死ぬということを許容することはできません。医療が医療労働者の犠牲の上に成り立っているという現状は、やはり改善していかなければなりません。

そして、医療労働者が健康・生命を保って働ける状況をつくるということは、医療を受ける側にとっても安全性を高めることであるという認識に立つことが重要です。

現状を見ると到達不可能な理想に思えるかもしれませんが、理想的な姿を明確にイメージしてそれを目指そうとしていかなければ、そもそも現状から踏み出すことはできないのではないかと思います。

今回の愛育病院の問題が、単に医師の採用が実現すればそれで解決ということではなく、医療全体のあり方を見直し、改善していくためのきっかけになればよいと考えています。

新国立劇場元合唱団員の解雇問題(東京新聞より)

2009年03月26日 14時45分21秒
テーマ:労働組合運動

以前、事例として聞いた記憶がある解雇問題についての記事が東京新聞に掲載されていましたのでご紹介したいと思います。検索しましたがサイト上では見つからなかったため手打ちとなります。引用部分は青で表記します。



新国立劇場元合唱団員の解雇問題

「劇場の雇用者ではない」  東京高裁、団交拒否を容認

東京新聞  2009年3月26日(25面)


 新国立劇場(東京都渋谷区)のオペラ合唱団員だった八重樫節子さん(五九)=千葉県柏市=の解雇をめぐり、劇場側の団体交渉拒否は不当労働行為かどうかが争われた訴訟の控訴審判決で東京高裁は二十五日、八重樫さんは劇場の常時労働者ではなく、不当労働行為はないとする一審判決を支持、八重樫さん側の控訴を棄却した。

 八重樫さんは一九九八年の新国立劇場合唱団の結成メンバー。ソプラノのパートリーダーも務めた。年間二百三十日程度働いて年収約三百万。組合活動に熱心だった。二〇〇三年のオーディションで不合格。八重樫さんは「組合活動を嫌悪された」と主張する。

 中央労働委員会は劇場に交渉に応じるよう命じたが、東京地裁は昨年七月、この命令を違法と判断。労働実態よりも契約形式を重視し、各演目ごとの個別出演契約だから常時雇用はないとした。

 高裁判決はより厳しい内容に。劇場との関係を「集団的舞台芸術性に由来する諸契約が課せられる以外、法的な指揮命令ないし支配監督関係の成立を差しはさむ余地はない」とし、個別契約すら軽視した。

 団員は音楽監督の指揮命令は受けるが、劇場とはそのような関係はない以上、劇場の雇用者ではない-という判断で、音楽を含む舞台芸術関係者には衝撃的な内容だ。

 八重樫さんは近く、最高裁に上告する。

 「外国では音楽家は労働者として認められているのに、判決は悔しい。日本の文化貧困の象徴だ」

 労働組合「日本音楽家ユニオン」の篠原猛代表運営委員は「良質の音楽を提供するには、安心して音楽に打ち込める環境が必要」と判決に憤る。

 「音楽家は単なるコマなのか。シンセサイザーに人の代わりをさせても同じなのか」



この判決は、東京地裁の判決も合わせて、中央労働委員会が劇場に交渉に応じるように命じているにも関わらず、裁判でそれを否定しているということに大きな問題があるのではないかと思います。

中央労働委員会とは、団体交渉などでも決着がつかない労使の紛争を解決することなどを役割としている国の機関です。労働法制に基いて労働者が団結することを擁護し、及び労働関係の公正な調整を図ることを任務としています。行政機関ですので、その判断を司法が正すということはあり得ることなのですが、団体交渉という労働者が自らの権利を守るための最大の手段を封じ込める判断には納得できません。

雇用関係が明確にされていない場合、労災が発生した際の補償にも支障をきたす恐れがあるということも問題になっています。

働くものの権利と安全を守るため、労働者性や雇用責任の判断は、労働実態に即してされるべきだと思います。

新要介護認定について4

2009年03月26日 10時15分40秒
テーマ:いのちと健康

まず、今後行なわれる「派遣村」的な相談会の情報です。


浜松 「トドムンド浜松派遣村」  3月29日(日)~30日(月)

  東ふれあい公園で開催。主催は生活保護支援ネットワーク静岡など。

  各種相談会、炊き出しほか。

  30日には市役所までのデモや生活保護の集団申請も行なう。

  (「トドムンド」とはポルトガル語で「みんな」の意)


東京 「反貧困フェスタ2009」  3月28日(土)

  千代田区立神田一橋中学校で開催。主催は反貧困ネットワーク。

  シンポジウムなどと共に、各種相談会、炊き出しも行なわれる。

  ※チラシをダウンロードすることができ、会場地図もそちらに載っています。

http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/festa2009/festa2009.html


埼玉 川口版派遣村 こまりごと相談所  4月19日(日)10時~14時

  川口駅西口前、川口西公園で開催。主催は川口市社会保障推進協議会など。

  労働、くらし、法律、生活保護、医療、子育て、介護、納税、多重債務の相談。

  フリーマーケットも開催。炊き出しも有り。


元BP@闘争中様からの情報提供で、次のような相談会もあります。


http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=15912

鹿児島派遣村実行委員会 29日から4月4日、同市ボランティアセンターで集中相談会、炊き出し無し


http://mainichi.jp/area/gunma/news/20090318ddlk10040118000c.html

「ぐんま派遣村」26日、前橋市 炊き出し有り


http://www.kajocentral.com/event/event.htm

山形29日 派遣切りやめろ!雇用を守れ!大相談会 炊き出し有り


さて。昨夜は7時30くらいから10時まで、09春闘の第3回中央交渉を行ない、その後午前2時頃まで交渉の報告のニュースを書いていました。(なので、今日は1時間遅れの時差出勤です)

09春闘の重点課題は介護分野の職員の賃金引上げなのですが、経営側は政府・厚生労働省の示した介護保険制度の改定が実質的な収入の向上が困難な内容であることを理由に一部の職種のみにしかベースアップを行なっていません。確かに改定の内容は不十分なのですが、介護労働者の賃金引き上げが必要だという世論は労働者も経営者も一致して現状を訴えかけることによって形成されてきたものであり、その結果として政府・厚労省も制度見直しに着手せざるを得なかったという経過があります。政府・厚労省は今回の改定は介護労働者の賃金の上げ幅について規定するものではなく、具体的な賃金の引き上げは労使交渉に委ねるものであるという態度を取っています。よって、労働組合としては改定内容の不十分さを社会に訴えると同時に、最大限の賃金引上げを目指す交渉に取り組んでいく必要があります。


2009年度の介護報酬改定は、全体的な引き上げではなく加算の新設や条件緩和によるものであること、限度額の引き上げは伴わないことなどの問題点があるとともに、要介護度を低く抑えるような要介護認定制度の改定も合わせて実施しようとしていることに問題があることをこれまで示してきました。

厚生労働省は問題が指摘されていた要介護認定基準について一部見直しを公表しましたが、それでも現場の実態に合わない基準が多く残されていることが指摘されています。

本日のしんぶん赤旗にこの問題についての記事が掲載されていますのでご紹介します。引用部分は青で表記します。



介護認定 新基準/厚労省見直し 根幹変わらず

しんぶん赤旗  2009年3月26日

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2009-03-26/2009032601_01_0.html


 厚生労働省は要介護認定の新方式に伴って四月から導入しようとしている新たな調査基準について二十四日、見直し策を公表しました。見直しはごく一部で、「私たちの常識では考えられない」(「認知症の人と家族の会」)と批判されていた根幹は変わりません。「常識外れ」の基準はたくさん残されています。


”実態に合わない”


 問題になっているのは、新基準を記載した『認定調査員テキスト2009』。一部見直したのは、寝たきりの人の「移乗」、認知症にかかわる「買い物」や「金銭の管理」など数項目。そのほか、「自立」「できる」を「介助されていない」に置き換えますが、言葉を変えるだけで、判定結果には影響を与えません。(別項)

 それ以外の多くの項目は見直されていません。たとえば、「えん下(げ)」(食べ物をのみ下すこと)の調査項目では、普通食でむせる人でもトロミをつければ飲み込めている場合は、「できる」と判断されます。従来なら「見守り等」とされたケースです。

 「トロミをつけて飲み込めれば見守りが必要なくなるかのような判断は、乱暴だ」と批判が上がっています。

 「排尿」と「排便」では、ポータブルトイレの後始末を介護者が一括して行う場合も「一部介助」から「自立」に変更されます。

 聞き取り調査で「自立」や「できる」が増えれば、コンピューターによる一次判定で要介護度が急激に下がりかねません。

 調査項目や参考資料がごっそり削減されるため、二次判定を行う審査会での一次判定の是正も、これまで以上に難しくなると批判されています。

 「認知症の人と家族の会」の高見国生代表理事は、「一部見直したといっても、認定結果がその人の実情とかい離したものになる危ぐは依然として残る。介護保険制度そのものへの信頼が失われる恐れがあるのではないか」と話しています。

 日本共産党は、新認定方式に問題が山積みだと指摘し、見切り発車を中止するよう求めています。


厚労省の見直し策


(1)「自立(介助なし)」「できる(介助なし)」を「介助されていない」に表現だけ変える。

(2)重度の寝たきりの人の「移乗」を「自立」とする新基準は変えず、体位変換の介助を受けている場合に「全介助」とする。

(3)「買い物」「金銭の管理」で、むだな買い物をしているかどうかを問わない新基準は変えず、家族が返品や精算をしている場合に「一部介助」とする。

(4)「薬の内服」で、飲む時間や量の理解は問わないとの新基準は変えず、量の指示などを受けている場合に「一部介助」とする。



見直しがされたとしても、新要介護認定基準は要介護者の実情を正しく反映しないものであることは、上記の記事をお読みいただいただけでも十分にお分かりいただけるかと思います。

新要介護認定基準の適用を凍結することは、介護を必要としている人たちとそのご家族の生活を守るとともに、介護報酬改定の成果を骨抜きにさせないためにも、労働組合としても重要な課題として取り組むべきものです。

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