まず、今後行なわれる「派遣村」的な相談会の情報です。
東京 春の派遣村アクション
「春の面談・電話相談村」 4月8(水)~9日(木)
来場相談:9時~14時 電話相談:10時~20時
場所:日本青年館 相談電話番号:03-3403-4240
(フリーダイヤル準備中)
主催は派遣村実行委員会。
労働、生活、医療、住まいの相談。生活保護申請同行随時。
埼玉 川口版派遣村 こまりごと相談所 4月19日(日)10時~14時
川口駅西口前、川口西公園で開催。主催は川口市社会保障推進協議会など。
労働、くらし、法律、生活保護、医療、子育て、介護、納税、多重債務の相談。
フリーマーケットも開催。炊き出しも有り。
元BP@闘争中様からの情報提供で、次のような相談会もあります。
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=15912
鹿児島派遣村実行委員会 29日から4月4日、同市ボランティアセンターで集中相談会、炊き出し無し
さて。本日は、自宅から直接川口市庁舎に向かって川口地区労の対市交渉に参加し、一度職場に行ってニュース書きをして、それから今度は東京高裁に行って裁判傍聴をしてきました。対市交渉の資料は重いので職場に置いてきてしまったので、今日のところは裁判傍聴について報告します。
今日傍聴した裁判は、川口市教職員組合が取り組んでいる「時間外勤務に関する措置要求判定取消請求控訴審」です。(川口市教職員組合は全教加盟の労働組合であり、日教組とは関係ありませんのでご承知おきください)
以前、第2回口頭弁論を傍聴しており、その時の報告は下記URLにあります。
http://ameblo.jp/sai-mido/entry-10131761729.html
この次の第3回口頭弁論は団体交渉の日程と重なっていたので行けず、その後はしばらく非公開の弁論準備が続けて行なわれ、今回の第4回口頭弁論で結審となりました。
控訴人側は準備書面5を提出し、教員の夏季期間の勤務時間が一般の行政職員と同様であること、給特法により一定範囲の時間外労働が労基法32条に関わらず許容される場合があるとしても控訴人の労働時間はその範囲を超えていること、控訴人ら自身が行なった勤務実態調査は日常的な勤務実態を反映する期間に行なわれたこと、文科省の勤務実態調査からもそれは認められていることなどを示しました。
被控訴人側も準備書面を提出したそうですが、それについての陳述はありませんでした。
控訴人側は補足説明として、甲102号証の昭和41年に行なわれた教員の勤務実態調査によると小学校教員は月換算で約8時間の時間外労働をしているが、平成18年の調査によると月約34時間の時間外労働をしており、休憩時間も約半分になっていることを示しました。また、甲111号証の文科省通知により、学校現場の負担軽減プロジェクトチームの取りまとめ結果から、病気休業者の増加に対する危機感が表明されたことや、甲97号証でメンタルヘルス不全による休業者が3倍に増加していることが示されたことを指摘しました。そして、全国の教職員からこの裁判の判決に期待が寄せられていることを述べました。
続けて、控訴人の意見陳述が行なわれました。
控訴人は、まず人事委員会に対する措置要求制度は、憲法28条で保障されている労働基本権が制限されている地方公務員のための代償措置であり、慎重な判断をするべきものであり、地方公務員法第47条で人事委員会は必要な勧告を出す義務があることが定められていることを述べました。そして、控訴人らの労働実態は、労働基準法32条違反に当たる時間外労働があることを人事委員会も認めており、最高裁判例で労基法上の労働時間は「使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされたとき」とされており、教員にも労基法32条は適用されることを主張しました。また、一定範囲の時間外労働が教員調整額4%によって許容されるとする給特法を認めるとしても、その強要される時間外労働時間は無制限ではなく、同法制定当時の教員の時間外労働時間が小学校で週2時間30分、中学校で週3時間56分と、現在の約7分の1であることから、給特法が想定している時間外労働時間は現在の実態にそぐわないものであることを示しました。そして、控訴人らの措置要求を取り消した人事委員会の判断は裁量権の逸脱であり、最低限の労働条件を示した労基法に違反したものであり、ひいては憲法に違反するものであることを主張しました。学校長、教育委員会の違法を黙認する態度から、この問題については自主的な是正が着たいできず、裁判所の判断によって憲法27条、28条の主旨を踏まえた是正が行なわれることを求めました。
この陳述によって口頭弁論は終結し、7月15日に判決が言い渡されることが決まりました。
口頭弁論終了後、東京高裁前で短時間の集会が行なわれました。
まず、埼教組の委員長が、2004年の措置要求からの長い闘いへの支援に対するお礼を述べ、支援署名が1万筆を超えたことを報告しました。
次に弁護団代表から、この裁判は全国の教員の労働時間のあり方について判断を下すものであり、ここで勝利できれば全国的に意味があるということが述べられました。そして、文科省も長時間労働の事実を実態調査によって認めており、長時間労働が健康を害することも認められてきているので、これからも判決までの間、引き続き署名活動などで全国からこの裁判が注目されていることを伝えようという提起がされました。
控訴人の方々からは、裁判での闘いを通じて組合の力を実感したこと、最終弁論で今までもやもやしていたものがすっきりしたこと、憲法違反であるという核心をついたこと、密室での聴取が苦痛だったが、それによって夏、春休みの間の勤務について明らかにすることができたこと、長い間待ち望んできた教員の勤務の実態が明らかにされたことなどが述べられました。
埼高教の委員長からは、埼玉の問題として注目してきて、傍聴には委員長が必ず参加してきたこと、これからも判決までの間連帯して運動していく決意であることが述べられました。
全教の方からは、京都の教職員組合も大阪高裁で超勤裁判を行なっており、この2つの裁判の取り組みが文科省を動かして実態調査をさせたと述べ、今後も全国の仲間と一緒に取り組んでいこうと呼びかけました。
働くもののいのちと健康を守る埼玉センターからの参加者は、民間でも公務でも労働実態は大変なことになっており、全国に影響を及ぼすこの裁判をこれからも支援していきたいと述べました。
まとめとして、事務局の方が、この裁判は教員が人間らしい働き方ができているのか、教育上、ふさわしい働き方ができているのかを明らかにするものであり、裁判を通して行政も動き出しているので、最後まで奮闘を続けていこうと述べ、集会は終了しました。
以上、裁判傍聴の報告でした。