リーグ戦は首位独走、交流戦でも優勝を射程圏にとらえた岡田阪神。18年ぶりの優勝を果たした2003年星野阪神に勝ち星でも注目度でも肉薄しそうな勢いだ。
阪神からトレードでオリックスに移籍した浜中は今季、本拠地・京セラドーム大阪でのある試合の開始直後、周囲にボソッと「もうプレーボールかかってるんですよね?」と尋ねたそうだ。スタンドの熱気をはじめ、昨季までとの、あまりの『景色』の違いに戸惑いが隠せなかったという。
ここ数年、阪神は甲子園だけでなく、ビジターの球場でも大観衆を集めている。観客動員という点では間違いなく球界NO.1の球団だが、それでも年々減少していたものがある。巨人戦中継で低下がはやされた視聴率が、関西地区の阪神戦で、その傾向がみられたのだ。
「関西地区での阪神戦中継の視聴率平均値の推移をみると、星野阪神が18年ぶりに優勝した03年の17.7%を頂点に、04年16.4%、05年15.9%、06年13.6%、去年は12.2%と、年々数字が落ちています」(在阪民放関係者)
 社会現象となった03年星野阪神の優勝。快進撃が続く今年は、それ以上の盛り上がりも!? |
ところが、今季は様相が違う。「前半戦の段階で12%を超えています。後半戦に入り、3年ぶりの優勝機運が高まってくれば注目がさらに集まる。03年の数字にどこまで迫れるか見ものです」(先の関係者)。
実は視聴率が好調な理由の1つに、阪神の今季の戦いぶりがある。現在42勝のうち、実に逆転勝ちが半分強の22回を数え、昨年7度だったサヨナラ勝ちもすでに今年、4度実現している。終盤までもつれる接戦になっていることでファンを画面にくぎ付けにし、平均視聴率を上げる要因になっているのだ。
球団で興行・放送権を担当する岡本勇人営業部付部長は「工夫も大事ですが、やはり本筋の野球の魅力でお客さんを引きつけたい、という考え方です。テレビ中継も試合内容が劇的になればなるほど、視聴者を引きつける。03年のようになればと思います」とこれからのトラの戦いに期待を寄せる。
7月8日にセ・リーグ史上最速のマジックナンバーを点灯させた03年は、18年ぶりの優勝ということもあって、夏あたりから社会的な盛り上がりをみせた。それ以降、常勝チームとなったため、ファンも勝ちに慣れ、首位独走中の今年もそこまでボルテージは上がっていない。だが、テレビ観戦者の増加は、夏のフィーバー到来を確実に予見させる。
勝利数のペースで何かと比較される03年のトラに、人気の面でも追いつき追い越せるか。
ZAKZAK 2008/06/20