2009年4月11日 2時30分 更新:4月11日 2時30分
日野自動車の子会社「ソーシン」(埼玉県入間市)が、埼玉労働局の指摘を受けて派遣社員数人に直接雇用を申し込んだ際、就業期間を1日としていたことが分かった。期間更新もない形式的な申し込みで、派遣社員たちは応じないまま失職した。労働者派遣法には就業期間に関する規定がないため、労働局の指摘が安定雇用につながらない結果となった。派遣社員側からは「雇用を守るために抜本的な法改正が必要」との声があがっている。【木戸哲】
ソーシンによると、同社は不況が本格化した昨秋から今年1月までに、約320人いた派遣社員のうち約270人を削減した。残った約50人についても2月18日で契約を解除することを決定、1月中旬に、派遣会社が本人に通告した。
その後、一部の派遣社員が加入した労働組合「下町ユニオン」が「ソーシンは『偽装請負』の形で3年以上前から派遣を受け入れており、直接雇用を申し込む義務がある」と埼玉労働局に申告。これを踏まえ、労働局はソーシンに「可能な限り早く直接雇用に切り替え、1日でも長く雇用すべきだ」と指摘した。
同社は2月18日の直前になって、雇用継続を望んでいた5~6人の派遣社員と順次面談し、同日までパートで採用する意向を伝えた。面談日によって就業期間に違いがあり、同17日に面談した派遣社員は、申し込みに応じたとしても1日しか働くことができなかった。
2月17日に面談した30代の元派遣社員の男性は「仕事の話があると言われて喜んで出社したのに、期間が1日だけと聞き、バカにされたと思った。正社員と同じように働いていたのだから、使い捨てにしないでほしい」と憤っている。
一方、ソーシンは「2月18日以降は仕事がなく、もともと会社に残ってもらうことは不可能だった。派遣をパートに切り替える手続きに時間がかかり、たまたま就業期間が短くなったが、労働局の指摘に従い、やれるだけのことはやった」と説明している。
労働者派遣法は、製造業の派遣社員の受け入れ期間を最長3年に制限しており、3年を超える場合は、派遣社員に直接雇用を申し込む義務がある。労働局はこの義務に違反した企業に指導、助言を行ったうえで直接雇用を申し込むよう勧告することができる。勧告に従わない場合は企業名が公表されることがある。