千葉県の森田健作知事(59)が就任後、初めて怒りを爆発させた。「成田と羽田をリニアで結ぶ」「アクアライン800円」などのプランを、千葉市の鶴岡啓一市長(68)が9日、「元気がいいからできることではない」などと批判。これに対し森田氏は「この公約は政治家としての信念だ」と激しく反論、市長とバトルモードに突入した。
成田〜羽田両空港をリニアモーターカーで結ぶ−。これは森田氏にとって最大の公約だ。鶴岡市長は、まずこれにかみついた。「東京湾は軟弱な地盤。全部トンネルでいくしかなく、それだけのことをやるのは『元気がいいから』できることではない」などと批判。元自治省の官僚らしく、財源的な裏付けの不備や地理的条件が整っていないことを指摘しながら、森健マニフェストを切って捨てた。
さらに、アクアラインを800円に値下げする公約についても「“あんな”公約できるのか」とあきれ気味。「国土交通省が財源的に無理だと言っているようだ。本気でやるなら県が金を出さなければならない。そこまで覚悟を決めて言っているのか」と吐き捨てるように語った。
2つの公約の実現可能性については、選挙中から疑問を呈する声が上がっている。しかし、「覚悟があるのか」とまで批判されては森田氏も黙ってはいない。
まず鶴岡氏が7月の任期満了で引退を表明していることに触れ「お辞めになるんでしょ」とちくり。「市長としてお考えはいろいろあるでしょう。ただこの公約は政治家としての信念だ。県民にとって、何が必要で大切なのか考えた結果です」と怒りをあらわにした。
両者の間には因縁がある。2005年3月の知事選で、森田氏は約6000票差で堂本暁子前知事に惜敗した。その約3か月後に、千葉市長選が行われ、今回、森田氏を批判した鶴岡氏が再選を目指し出馬。対抗馬には千葉市の前助役だった島田行信氏が立った。島田氏は、堂本氏を追い詰めた森田氏を参考に、「分かりやすい公約」を掲げ現職市長に挑戦。鶴岡氏は、再選を果たしたものの“森健流”には違和感とアレルギーが残った可能性がある。
千葉市長からの批判に加えこの日、共産党県委員会からは05〜06年当時の政治資金規正法で禁じられていた外国人・外国法人の持ち株比率が50%を超える企業から献金を受けていた問題で、辞職要求も突き付けられた。
森田氏は「批判は簡単です。私は県民のためにやるだけ。まだまだこれからですよ」と語った。
◆セブン−イレブンと共同開発「千葉県産」弁当を試食
○…森田知事は9日、千葉産食材をふんだんに使い、県と大手コンビニのセブン−イレブン・ジャパンが共同開発した弁当を試食し「安全、安心の千葉県産だね」とアピールした。試食したのは、14日から県内のセブン−イレブンで順次販売される「菜の花」「あさり」「豚焼肉」。管理栄養士を目指す和洋女子大と聖徳大の学生3人が考案し、20〜40代の男性の健康を考え、カロリーや栄養バランスに配慮した商品という。