7月5日にリリースされるGARNET CROWのニューシングル「夢・花火」。前作「籟・来・也」に続いてラテンのテイストを感じさせる今作は、1年ほど前にいったん完成したものの“もう一度世界観を作り込みたい”との理由から手直しされたという、手間と時間のかかった一作だ。なぜ彼らはそこまでこの楽曲にこだわったのか?ボーカルの中村由利にその真相を聞いた。

――ニューシングルのお話の前に、前作「籟・来・也」について少々。この曲は、南米アマゾン古代文明を探るドキュメンタリー番組のイメージソングとして、幅広い層の人たちから注目されましたね。
【中村】 曲自体はタイアップが決まる以前からあったもので、もともとケーナの音とかが入ってたことから、番組スタッフの方が“使いたい”と言ってくださったんですけど・・・私たちも、この歌の世界観によく合った番組だなと後でビックリしました(笑)。
――番組用に作ったのではなく?
【中村】 違いますね。アルバムに入れる予定の曲として作っていき、たまたまそういうお話が来て“じゃ、シングルにしようか”と。
――ニューシングル「夢・花火」は「籟・来・也」と同じくラテンの匂いがする曲ですが。
【中村】 特に意識はしてなかったんですけど、結果的に続いた感じになって。この曲も去年の夏ぐらいにもう出来ていて、悪くはなかったけど“これだ!”とピンとくるものがなかったので、やり直そうということに。
――どこが気に入らなかったのでしょう?
【中村】 何かキレイにまとまり過ぎていて、もう少し荒々しい部分とか、力強いロックのテイストが出たほうがカッコよくなるんじゃないかって気がしたんです。で、時間をもらって、ドラムを変えたりグルーヴ感を変えたりして今のカタチになった。今回、夏のリリースということで季節的にも合いますし、久しぶりにアップテンポの曲をやりたかったのでこの曲を(シングルに)選びました。
――GARNET CROWはよくそういった“再構築する”作業を行いますよね。
【中村】 どうもね(笑)。納得いくまでやっちゃう。そこはやっぱり妥協できない部分というか、作品となって何十年も残っていくものを中途半端な状態で出すのは嫌だし、やり直すことが特別な苦労とは、全然思ってないんですよ。それに、パッと個性を放つ楽曲のほうが印象に残るという意味でも、シングルにするならそれ用の手直しが必要だなと。
――先ほどラテンという言葉を使いましたが、この曲にはそれ以外にもいろいろな要素が入っているような。
【中村】 メロディ自体は私がイタリアのカンツォーネとかをよく聴いてた時期に作ったものだし、歌詞には日本的な名詞がたくさん出てくるし、アレンジはアレンジで骨太なロックになっているので、何か無国籍な、いろんな国のいろんな要素が交じり合ったGARNET CROWらしいオリジナルなものになったかなと思ってるんですけど。カップリングには、オンエア時に好評だった「籟・来・也」の別バージョンが入っていて、改めて“貴重な体験が出来て良かったな”と思いますね。
(文:中村美里)