季節は春から夏に向けて一気に走りだした感がある。日中は汗ばむような陽気が続く。
まぶしく輝く日差しをエネルギーとして生かすべく、政府は太陽光発電の普及に本腰を入れ始めた。クリーンかつ持続可能なエネルギーであり、環境対策にもつながる。
政府は太陽光発電パネルの設置費補助などで普及促進を狙うが、残念なのは環境対策の視点よりも、経済対策として重視している点だ。昨年秋以降、急激な景気悪化を受けて、にわかに支援策を強化している。
かつて日本は太陽光発電で世界のトップを独走していた。一九九〇年代から発電パネル設置の補助制度を設けたからとされる。だが、一定の成果が上がったとして二〇〇五年度で補助を打ち切った。その途端、状況は一変した。
民間機関の調査によると、太陽光発電の総設備容量はすぐドイツに抜かれた。昨年末の時点ではスペインにも追い越され、世界第三位に転落した。昨年一年間に新設された設備容量は米国を下回り、世界第三位から四位に後退した。各国とも継続的に普及策を図っており、日本の立ち遅れが鮮明化した。
太陽光発電の威力は大きい。スペインの昨年の新設容量は、大型の原発一基分を超える規模である。うららかな春の日に、日本の長期的な戦略性の乏しさを痛感する。