長浜市で06年2月に起きた園児刺殺事件で、遺族が幼稚園を運営管理する同市と受刑者の元夫を相手取り損害賠償訴訟を起こしたことを受け、前田康一・市教委理事と勝木俊次・市教育指導課長は8日、長浜市役所で会見した。
前田理事は「遺族の心情を大事にしながら、真摯(しんし)に受け止め、対応を考えたい」としつつ、訴状の内容については「コメントを差し控えたい」とした。また、勝木課長は「提訴は予想しなかった。遺族から提訴の話は出ていなかった」と戸惑いの表情を見せた。
訴状で遺族は「幼稚園の教諭らは、鄭永善受刑者(37)=殺人罪などで無期懲役判決を受け服役中=から娘のいじめの相談を受けていながら、通園のグループ割りに配慮したり、同じグループの保護者らに状況を説明せず鄭受刑者に送迎を分担させるなど、安全配慮を怠った」と主張。これに関連し、前田理事は「グループ通園は事件後、原則、徒歩での個人送迎に改めた。ただ、保護者が話し合いのうえグループ通園をしているところもあり、ばらばらの状況だ」と説明した。【野々口義信】
毎日新聞 2009年4月9日 地方版