<発想!動く>大阪検定、地元知る好機に――講談師・旭堂南陵さん

 
              
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<発想!動く>大阪検定、地元知る好機に――講談師・旭堂南陵さん

2009/04/09配信


第1回「なにわなんでも大阪検定」(6月21日実施)の受け付けが始まった。大阪商工会議所の主催で地域の言葉や歴史、芸能などを幅広く問い、大阪を再発見してもらう試みだ。その普及に講談の名手が一肌脱いだ。

 「大阪のおばちゃんはヒョウ柄の服を着てるって、そんな人見たことあります?」「粉物ばかり食べてるなんてありえへんわ」。3月末に開かれた関連イベントで「大阪の誤解」をテーマに講演。軽妙な語りで百数十人の聴衆を笑いに包んだ。

 「大阪は東京で作られた一面的なイメージで語られすぎている」との疑問を抱く。例えば道頓堀を歩くと、たこ焼きやお好み焼き、くしカツばかりがもてはやされている。てっちりやすき焼きなど昔ながらの食文化への関心は薄れるばかりだ。

 「観光客だけでなく、地元の人まで大阪の魅力に無自覚なのは残念なこと」。そんな思いが募るなか、新たなご当地検定の開催を知り、協力を申し出た。

 講演に先立って開かれた無料の街歩きツアーではガイド役を務めた。大阪・天満橋に近い八軒家浜から上町台地を抜けて四天王寺へ。平安時代以降、京都から熊野詣でに向かう人々は大阪で船を下り、一路南へ歩き始めたと伝えられる街道の起点は、今も歴史の気配が色濃く残る。

 「大阪は昔から商業も文化もコンパクトに詰まっているのが魅力。普段見ている街並みも、ふと目線をそらせば奥深さが味わえる」。約3時間の道すがら、幅広い世代の参加者から質問攻めに遭い、手応えを感じた。

 上方講談界の重鎮だが、実は上方という言葉はあまり好きではない。「大阪と京都をセットにしなくてもいいのではないか。摂津、泉州、河内……、大阪だけでも言葉や風土はまったく違う。その多様性に目を向けてほしい」。正しいなにわ言葉の伝承をライフワークに、歴史や庶民の文化を語り継いできた。

 大阪検定の公式テキストが今週末から書店に並び始める。将来は合格者が街歩きのガイド役となって新たな「大阪好き」を育てる、そんな輪を広げていくための第一歩。心強い援軍を得て息の長い取り組みが始まろうとしている。
(大阪経済部 馬淵洋志)
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