記者会見で寄付を呼びかける橋下知事=9日、大阪府庁
大阪府の橋下徹知事の「ファン」を名乗る女性が先月中旬、現金1億円を府に寄付した。税控除のある「ふるさと納税」を呼びかけてきた橋下知事もびっくり。制度創設から1年ほどで、府への寄付は総額1億5700万円を突破した。
「知事を応援したい。福祉に使ってほしい」
3月17日、地域福祉課の職員はこんな電話を受けた。リュックサックに現金1億円を詰めた年配の女性とその家族が府庁を訪れ、知事室で橋下知事に面会した。女性が「財政難で困っていると聞きまして」と言うと、橋下知事は恐縮しながら「ありがとうございます」。女性は名前を公表しないよう希望し、橋下知事と記念撮影して帰ったという。職員は「知事の人気のおかげ」と感激した。
納税制度ができた08年度、府は延べ505人から1億5702万円余を集めた。厳しい府財政の一助にと、橋下知事は事あるごとに寄付を呼びかけてきた。
ターゲットは芸能人にも広がる。今年1月、明石家さんまさんとテレビで共演した橋下知事は「本日、さんまさんの番組に出演しました。ふるさと納税 全面的に協力するとのこと」と幹部にメールを送り、寄付を促すよう指示。3月末には、さんまさんのマネジャーから電話で「検討中です」と回答があった。「悪い返事ではないはず」と職員は期待を膨らませる。