2009年4月10日22時15分
会見に応じたシンガポールのリー・シェンロン首相=タイ中部パタヤ、柴田写す
【パタヤ(タイ中部)=高野弦、柴田直治】東南アジア経済の中心地の指導者として発言力を持つシンガポールのリー・シェンロン首相が10日、朝日新聞との単独会見に応じ、「経済保護主義に対抗するため、日本には東アジアでの自由貿易圏の実現に向けてリーダーシップを発揮してほしい」と語った。12日に当地で開催される東アジアサミットでは経済危機への対応が主要議題になる見通しで、首相は自由貿易の維持・拡大に向けた日本の取り組みに期待を示した。
リー首相は「日本は選挙が近く、国内問題に心を奪われているように見えるが、アジア地域の安定と繁栄のために力を発揮してくれると信じている」と強調した。また、「中国は経済規模で日本を抜くだろうが、日本には中国にはない技術力があり、アジア域内で建設的な役割を発揮できる」と語った。世界経済の見通しについては「回復までには数年はかかる」と厳しい見方を示した。
今回の東アジアサミットでは、北朝鮮のミサイル発射の問題も議論されるとみられる。リー首相は「声明の文言も協議し、参加国の立場を適切な方法で示す道を探ることになろう」と話す一方、「6者協議を通じた解決」をめざすべきだとした。