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高速値下げ 海路に大波/南海フェリー

2009年04月09日

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和歌山と徳島を結ぶ南海フェリー=和歌山市

◎休日客3割減 存続危機

 先月から始まった自動料金収受システム(ETC)利用による高速道路料金の値下げの影響で、和歌山と徳島を結ぶ南海フェリー(本社・和歌山市湊)が苦境に立たされている。休日の車の利用台数は約3割減という。ここ数年来の原油高で同社はぎりぎりまでコストを削減してきただけに「事業存続の危機」と悲鳴を上げている。(加藤順子)

 南海フェリーは、南海電鉄の100%子会社。かつては和歌山―徳島港、和歌山―小松島港(徳島県)を結ぶ2航路を持っていたが、現在は和歌山―徳島港のみ。08年度の利用台数は乗用車約12万5千台、トラック約5万台。ドライバーを含めた旅客は約50万人に上る。

 所要時間は約2時間で、料金は車体長4メートル以上5メートル未満の乗用車が9300円(1人分の乗車賃を含む)。

 高速道路の場合は、阪和道の和歌山インターチェンジ(IC)から近畿道、中国道、山陽道、明石海峡大橋を経由して神戸淡路鳴門自動車道の鳴門ICまで行くとおよそ3時間かかる。料金も普通車で9300円で、これまではフェリー利用のメリットがそれなりにあった。ところが今回、高速道路の料金が休日の午前6時〜午後10時には、3300円まで下がり、大きな差がついた。

 南海フェリーによると、影響が出始めたのは、四国と本州を結ぶ本州四国連絡橋の先行値下げが始まった3月20日から。全面的に値下げされた同28日からは、休日の利用台数が約3割減ったという。フェリーの利用者は平日はトラックが、休日は乗用車が多いため、減ったのは主に乗用車とみられる。

 数年来の燃料価格の上昇を受けて、同社はすでに様々なコスト削減策を実施してきた。

 省エネ運転をして運航にかかる時間を15分長くしたり、船底に付着するフジツボの除去回数を増やして水の抵抗を減らしたり。船の重みを減らすため、トイレを水が必要ないものに改修したりもした。昨年12月には、それまで1日9往復だったのを8往復に減らす減便に踏み切った。

 西尾隆・営業部長は「できることはすべてやっている」と話し、「景気対策は分かるが、国が業界をつぶそうとしているようなものだ」と今回の政策に憤る。「フェリーは事故や災害で、橋が使えなくなった時の手段としても必要なはず。何としても存続させてほしい」

 全国のフェリー会社などが加盟する日本旅客船協会によると、高速道路値下げ以降、兵庫県明石―同県岩屋港や、岡山県宇野―高松港の航路では乗用車の輸送台数がおよそ半分になったという。協会は、国などに港湾使用料などの減免を求めて陳情している。

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