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「半年以内に先進国医療から後退も」

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 日本病院会などでつくる四病院団体協議会(四病協)と超党派の「医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟」(代表=尾辻秀久・自民党参院議員会長)は4月10日、「メディカルスクール構想」をテーマに、東京都内でシンポジウムを開いた。国会議員や一般参加者など約80人が出席し、四病協メディカルスクール検討委員会の本田宏委員(済生会栗橋病院副院長)と中田力委員(新潟大脳研究所統合脳機能研究センター長)が講演した。中田委員は「おそらく、今何かしなければ、間違いなく6か月以内に日本は先進国医療から立ち遅れる」と警鐘を鳴らし、危機感を持つよう出席者に求めた。

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 四病協の代表としてあいさつした日病の山本修三会長は、メディカルスクール構想のコンセプトについて、「質の良い臨床医を育てることだ」と強調。
 山本会長はまた、「毎年、臨床研修医の中から100人以上がドロップアウトしている」と明かした。その理由について、「医師になりたいというモチベーションがあまりない」「臨床に出た後で(大学で勉強した内容との)あまりのギャップにやっていけない」の2点を指摘した上で、「米国のメディカルスクールでは、ドロップアウトする生徒はいないと聞いている」と述べた。

 講演の中で本田委員は、「今のままでは学士にもなれないし、途中でドロップアウトした人は本当につぶしが利かなくなってしまう。日本の医師国家試験は、医師数を減らそうとした時から年に1回になった。ちょっとでも体調が悪くて落ちると、1年待たなければならない」と問題提起。「米国では(試験を)毎日でも受けられると聞いている。いいところは米国のまねをして、日本の医師がよりよい臨床医になるよう理解と協力を頂きたい」と求めた。

 一方の中田委員は冒頭、「おそらく、今何かしなければ、間違いなく6か月以内に日本は先進国医療から立ち遅れる。それはもう確実だ。そうなれば絶対に元に戻らない」と強調。
 解決のキーワードとして、「要素が多過ぎて、どれを扱えばよいか分からない系」である「複雑系」を挙げ、「医療は『複雑系』の代表。まず『複雑系』だということを理解し、最初に解決法を考えなければ何をしても無駄だ」と指摘。そして、「医師の数を増やしたところで何の役にも立たない。どうすればきちんと患者を診る医師を増やせるかがポイントだ」と述べた。
 解決策の「応急処置」として、中田委員は「医師ではなく、患者を診ている病院に大量の資金を注ぐ」ことを提案。「病院医療を守ることによって、医者たちが戻ってくる」とした上で、「正しい専門医がつくれる、きちんとした医療改革をつくるという『根本治療』をやらなければならない」と訴えた。そして、「こうした議論ができる委員会を内閣府に設置してほしい」と求めた。

 質疑応答の中で、日本の適正な医師配置について、本田委員は「地域で決めなければならない」と答え、中田委員は「自分たちの意思と世の中の要求がうまく重なるようにしなければならない」と、配置は医師側が決めるべきだとの考えを示した。


更新:2009/04/10 23:35   キャリアブレイン

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