両親「残念」無念の会見　女児心臓手術死亡

　東京女子医大病院（東京都新宿区）で平成１３年、心臓手術を受けた平柳明香さん＝当時（１２）＝が死亡した事故で、１、２審で無罪となった元同病院医師（４５）への東京高検の上告断念を受け、明香さんの両親が１０日、厚生労働省で記者会見し、「残念としかいいようがない。難しい面はあるかもしれないが、上告して最後まで争ってもらいたかった」と述べ、それぞれ無念の表情を浮かべた。

　父親の利明さん（５８）は「負けるんであっても、上でもう少しやってほしかった。親であったら誰だってそう感じると思うんです」と複雑な胸中を吐露。その上で、「裁判での真相究明はあまりにも時間がかかる。医師と医師といった専門家同士のやりとりの方が早い」と話し、専門家による事故原因究明と再発防止を目指す医療版事故調（仮称・医療安全調査委員会）の早期創設を訴えた。

　母親のむつ美さん（４９）も、「刑事裁判では判断できないことが多々ある。それが医療ということを強く感じ、裁判が進めば進むほど真実を知ることは不可能と思った」と指摘。「医療の専門家がきちんと事故を検証する形を早く作りあげていってもらいたい」と主張した。

　医療版事故調の創設は、警察への通知などをめぐって医療界の一部に根強い反対があることなどから、動きが停滞している。