政府の「経済危機克服のための『有識者会合』」は21日、首相官邸で5分野にわたり計44人の有識者から意見を聞いた。「低炭素・環境」では「自立国債」発行や環境分野への投資や融資促進などが提言された。
会合は、この日で5日間の日程を終え、麻生太郎首相は会合終了時に「参考になったものや耳の痛い意見もあったが、大変有意義だった。意見を整理して、経済財政諮問会議で検討するものは検討したい」と述べた。政府は与党の議論を踏まえ、4月上旬を目標に追加経済対策を取りまとめ、一部を平成21年度第1次補正予算編成に盛り込む方針だ。
「低炭素」では、小宮山宏・東京大総長が「政府はこれだけの市場規模を作ると宣言すべきだ」と述べ、家庭での太陽光発電普及などの対策費を年2兆円の「自立国債」の発行で充てるべきだと提言、「補助金で配るよりも有効だ」と強調した。末吉竹二郎・国連環境計画金融イニシアチブ特別顧問は国民年金基金などを環境関連に投資し、運用すべきだと訴えた。
「社会保障」では、日野原重明・聖路加国際病院理事長が、看護大学の修士課程を学んだ看護師が医師の了解の下で一定の診断や治療が行える態勢を整備すれば「医師不足を補える」と述べた。堀田力・さわやか福祉財団理事長は「高齢者の資産を動かせば経済効果が出る」と述べ、投資先の老人施設への入居権や保育所への孫の入園権を与え、2年限定で相続税を免除することを提案した。
「製造・サービス業」では、複数から平成28年の東京五輪誘致が決まれば経済活性化につながるとの発言が出た。「消費者・子育て・女性労働」からは消費者庁の早期設置を求める意見が相次いだ。
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