『津波 アンダマンの涙』  

 うーーーむ。

 「アンダマンの涙」という、響きの美しいサブタイトルに、ふさわしい内容かどうか…。

 津波直後のプーケットの様子が描かれている点では、貴重な本かもしれない。

 著者はタイのフリーペーパーなどでおなじみの人で、本書は津波発生直後から3週間強の間、日本から取材に来た記者の通訳兼コーディネーターとして、プーケット周辺で仕事をした時の、日記形式のレポート。

 あの大惨事を感傷的に描いていないところには、好感をもった。

 だが本の後半、2人目の記者との折り合いの悪さの記述が目立つようになり、トーン・ダウンしてしまう。

 愚痴やいやみは洗練されたものにするか、建設的なものにするかにしてほしかった…。

 そんなことは気にせず、津波そのものにだけ関心を向ける読者もいるのだろうけれど、個人的には、期待が大きかっただけに、NGな読書になってしまった。残念 ↓↓↓

 願わくば、タイ人の書いたものや、タイの20倍もの被害者を出したインドネシア(死者165,708人・本書巻末資料より)の人の書いた津波レポートを読んでみたい。

by chicorycafe | 2009-04-06 23:23 | ◆タイの本

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