「阪神2-4広島」(9日、甲子園)
三夜連続のミラクルは起こらず、阪神の連勝は2でストップ。金本知憲外野手(41)の連続打席安打も6でストップしたが、6試合連続打点は継続。連続打数安打も7と伸ばした。10日からは巨人との3連戦(東京ドーム)。アニキのバットはまだ健在。宿敵相手に、仕切り直しや。
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止まらない。いや、誰にも止められない。ひとたびボールが甘く入れば、確実にバットの芯でつかまえる。そしてチャンスの場面では、集中力を高めて打点を稼ぐ。贅沢(ぜいたく)を言えば、すべての試合に勝ちたいところだがそれは無理な話。広島を3タテとはならなかったが、金本の打棒に陰りはみられなかった。
一打、一打で歴史に名を刻んでいる。まずは3点を追う六回だ。先頭打者として梅津を迎え撃つと、カウント1-1からの3球目、120キロの外角スライダーを中前打。得点にはつながらなかったが、4番が必死にチャンスメークを試みる姿でナインを鼓舞した。このヒットで連続打数安打を7に伸ばした。
そして、八回だ。無死一、三塁のチャンスで横山と対峙(たいじ)すると、しっかり右犠飛を放ち追撃。カウント2-1からの4球目、130キロの外角低めフォークを拾い上げ、右翼フェンス際にまで運んだ。
もう少しで同点3ランかという大きな犠牲フライで、開幕からの連続試合打点を自己最高の7試合に迫る6試合としてみせた。ここで途切れたとはいえ、9打数連続出塁も見事だった。
衰えなどという単語とは無縁だ。この日は練習前にウエートトレーニングを行い、「調子がいいね」と自身の好調を実感し試合に臨んでいた。8日に3打席連続本塁打を記録しても、慢心などみじんもなかった。最初の2打席は先発・長谷川に連続四球で歩かされた。にもかかわらず、警戒網をくぐり抜け結果を残した事実が、金本の価値をさらに高めている。
開幕からまだ6試合とはいえ打率・583、4本塁打、17打点は打撃部門リーグ3冠王。開幕からの連続試合打点に関しては、01年に福留(中日)が記録したセ・リーグ記録の8試合にあと2試合に迫った。
次カードは10日からの巨人戦(東京ドーム)。昨年は13ゲーム差をひっくり返され、苦渋をなめさせられた因縁の相手だ。真弓監督は試合後の会見で「気合入れていきます」と話したが、金本だって同じ気持ちだ。元来、巨人戦は「大好物」と公言する男だけに、気合が入らないわけはない。