マルチ商法:「きり」所有権など25万円 業務停止3カ月

2009年4月10日 15時00分 更新:4月10日 15時00分

 東京都内の業者が「きりの木の所有権を他人に販売すれば地球環境の改善につながりもうけることができる」などと言って会員を募るマルチ商法を行っていたとして、経済産業省は10日、特定商取引法違反(不実告知など)で3カ月の業務停止命令を出した。経産省は、会員が確実に利益を得られないにもかかわらず、同社がうそを言って勧誘しており悪質だと判断した。【奥山智己】

 経産省などによると、マルチ商法をしていたとされるのは「スタイレックエンタープライズ」(東京都江東区)。同社は06年3月ごろから、オーストラリアや米国で、きりの木の一種で数年で成木になり二酸化炭素(CO2)の吸収率が良い「スーパーポローニア」の植林事業を展開しているとして(1)木3本の所有権(2)会員の勧誘権--の二つを約25万円で販売するマルチ商法を展開。昨年10月現在で個人約3万人、法人約40社の会員を集めていた。

 会員らは勧誘する際、電話で「環境の関係で面白い話があるけど、一言では説明できないから」などと言って勧誘目的を告げずに公民館などに誘い込み、木のDVDや写真を見せて「10人に紹介して権利を販売すれば高額な報酬がもらえる」などとうそを言っていた。また、同社はCO2の排出量取引の実績がないにもかかわらず「CO2の吸収に役立ち、排出量取引でも収入が得られる」などと勧誘していた。

 しかし、実際に利益を得ていたのは会員の数%で、ほとんどの会員はもうけがなかったとされ、過去3年間で全国の消費生活センターなどに約400件の苦情が寄せられていた。経産省の調査に同社は「会員が勝手にやったこと」と会社としての関与を否定する一方、「会員への教育が足りなかった」と説明しているという。

 経産省によると、同社売上高は07年10月期の決算で約30億6000万円。

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