都道府県別に臨床研修医の定員を設定する厚生労働省の臨床研修制度見直し案は府内の医師不足を一層深刻化させるとして、山田啓二知事と26市町村長が連名で同省に対し、定員設定の撤回などを求める意見・要望書を提出することを決めた。府内の研修医は08年度274人だったが、見直し案では190人とされ、全国最大の30%削減となる。9日開催の知事・市町村長会議で決議した。13日に提出する方針。
見直しは医師の地域偏在などを是正するためだが、定員設定により京都、東京、大阪、神奈川、福岡の5都府県で削減され、その割合は京都大と府立医大の付属病院などのある府内が最大となっている。
意見・要望書は「地域医療や医学教育の現場に大きな混乱をもたらすと指摘される」として、「撤回のうえ抜本的に再検討すること」を要求。府が府立医大に一般財源から年間100億円超を運営費として投入していると強調し、「全国一律の見直しは自治体の努力を無にする」と批判している。
見直し案を巡っては、先月開かれた府医療対策協議会でも病院や大学関係者から猛反発の声が上がり、同協議会も同様の意見書を同省に出す方針。この日の会議でも「今でも医師が足りないのに、もう(大学病院から)派遣してもらえなくなるとの危機感を持つ」(中山泰・京丹後市長)などの声が上がった。【太田裕之】
毎日新聞 2009年4月10日 地方版