2009年4月10日 10時26分 更新:4月10日 10時36分
【ローマ藤原章生】イタリア中部地震で、多数の建造物が簡単に崩壊したことから、イタリア国内で、耐震強化などの面で「日本を見習え」との声が高まっている。背景には「国の無策が中部地震の惨事を広げた」との国民の不満がある。
「日本はこうして打ち勝った」--。イタリアの有力紙レプブリカは8日付紙面で2ページにわたり日本での建物の耐震強化など地震対策を紹介し「イタリアは遅れている」と政府に早期対策を訴えた。
記事は冒頭で耐震工学者、アレッサンドロ・マルテッリ・フェッラーラ大教授による「マグニチュード(M)7.5の地震が起きた場合、東京での死者は400人だが、南部カラブリア州で1万5000~3万2000人が犠牲になる」との試算を紹介した。
「日本では、今回の中部地震程度(M6.3)では新聞記事にもならない」と極端な記述もあり「いまだに耐震建築基準の法律を実用化できていない我が国」を嘆く。記事では日本を模範例に、木造家屋や鉄筋コンクリートの建物を強化する建材や緩衝材などについて図入りで紹介した。
イタリアは74年に初めて地震対策法が制定されたが、南部のシチリア、カラブリア州が対象だった。その後、北、中部での震災を経て、全土を危険度で4地域に分け耐震建築を義務づける改正法が03年に導入された。
だが、地域差は激しい。76年に震災に遭った北部のフリウリ・ベネチア・ジュリア州では耐震建築がブームのように広がったが、中部や南部では新築でも1~3割ほど。今回の被災地ラクイラは、新しい公立病院や新庁舎も半壊しており、現在、行政による手抜き工事や「耐震偽装」が問題視されている。