「出身は?」と聞かれて「東京です」と答えると、「ふーん、都会の人間だね」と言われ、会話が終わることがよくある。最近では「これではまずい」と焦り、「下町で田舎ですよ」「金八先生が土手を歩いている辺り」と返し、冷たい空気を吹き飛ばすように試みている。
青森市に住み始めて1年。雪の季節を乗り切り、地元の人情に触れ、青森にどんどん愛着がわいてきた。だが、地元の人に東京出身と話すと、「よそ者」という壁で区切られることもあり、何だか寂しい。そして、津軽弁や雄大な自然が「故郷」の青森の人を心底、うらやましく思う。
青森県民になりきれないが、最近では「よそ者」ならではの視点で、青森に貢献できるのではと思えるようになった。(久)
毎日新聞 2009年4月9日 地方版