朝日新聞阪神支局襲撃事件など警察庁指定116号事件を巡り、「実行犯」を名乗る島村征憲氏の手記を連載した週刊新潮の編集部は7日、島村氏が自分の手記について「否定するかのような不可解な発言をしている」とのコメントを発表した。
一連の連載が事実上、誤報だったことを認める内容となっている。島村氏が最近になって別のメディアの取材に「自分は実行犯ではない」という趣旨の発言をしていることも新たに判明。週刊新潮が十分な裏付け取材をしたのか、発行元の新潮社の責任も問われることになりそうだ。
週刊新潮編集部はコメントの中で、「島村氏本人が自らの手記を否定するかのような不可解な発言をしていることが明らかになりました」とした上、手記を掲載するに至った経緯について、最も早い地域で今月16日に発売される同誌で説明するとした。
同編集部は「コメント以上のことは話せない」としている。
関係者によると、島村氏は最近、別のメディアの取材に応じ、自分は実行犯ではないという内容の主張を展開。このメディアが、島村氏の主張が変わったことについて同編集部に見解を求めていたという。
島村氏の手記は、1月29日から発売された「2月5日号」から4週連続で同誌に掲載され、島村氏は、元在日米国大使館職員の男性(54)からの指示で朝日新聞東京本社銃撃(1987年1月)や阪神支局襲撃(同5月)など4事件を実行したとしていた。
これに対し、朝日新聞は連載掲載前に同編集部の取材に、「客観的事実と明らかに異なる点が多数ある」と回答したことを明らかにし、2月23日と4月1日には検証記事を掲載、「記事は虚報」として訂正と謝罪を要求していた。
同編集部は当初、「手記は真実と認識している」などと反論していたが、指示役とされた男性から「事実無根」と抗議を受けると、3月19日、この男性と和解。新潮社は「近く誌面などで見解を示したい」としていた。
この男性は7日、「週刊新潮には島村氏と面会させるよう求めてきたが、会わせてもらえなかった。島村氏から直接、謝罪がほしい」と語った。
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