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【茨城】赤字膨らむ市民病院 止まらぬ常勤医師減少2009年4月10日
三月二十七日夕方、筑西市玉戸の市民病院の四階。廊下はひっそりと静まり返り、どの病室も空きベッドが並んでいた。 市民病院は昨年一月、許可病床の百七十三床のうち、百十三床を休床とした。常勤医師の大量退職で入院患者を十分に受け入れられなくなったからだ。 「昔は当直が五人いたが、今は一人。医師の負担は増えている」 古谷政一院長は苦しい病院運営を打ち明ける。かつて二十数人いた常勤医師は年々減少し、歯止めがかからない。この一年で新たに三人が退職し、今月から六人となる。 ■市の財政を圧迫合併前の旧下館市時代から市民病院は赤字が続き、市の一般会計から三億五千万円前後を繰り入れていた。そこに、常勤医師不足による収入減が直撃。筑西市が誕生した二〇〇五年度以降の繰入金は、およそ七億円から十一億円に膨らんだ。 そんな中、市は昨年十二月、市民病院を民間に譲渡する方針を打ち出した。 「本当に実現性はあるのか。地域医療の質を落とさないための担保はとれるのか」 三月定例市議会一般質問で民営化への疑問の声も。市は譲渡の公募を六月にも始める予定だが、引き受け手が現れるかは不透明だ。 旧三町の住民は市民病院を利用することが少ない。旧協和町の病院を利用する男性会社員(55)は「これ以上、市民病院のために税金を納めるわけにはいかない。民営化すればいいんじゃないの」と話す。 一方で、不採算部門の救急医療を受け持つ公立病院の役割を重視する声もある。 ■経営形態を問う古谷院長は「地域には今後も、救命救急を含む急性期医療を行う中核病院は必要」と指摘する。 市民病院の経営形態については、県が三月、県西総合病院(桜川市)や民間病院との再編・統合も検討するよう提言。市民病院が二年前に一度行った市民へのアンケートでは、現状維持(26%)や廃止(22%)を望む意見もあった。今回の市長選は、経営形態を市民に問う機会となる。 ◇ ◇ 筑西市長選が十二日告示され、十九日に投開票される。合併四年後の今回の市長選で解決への選択を迫られている課題を探った。
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