枯れ山水といえば、石や白砂などで水を象徴的に表現した禅宗寺院の庭園を思い浮かべる。重森三玲はそうした抽象美を突き詰め、「芸術としての庭園」を目指した。
岡山県吉備中央町出身。近年とみに再評価が高まる昭和を代表する作庭家だ。生け花や茶道など日本の美を学びながら、全国の古庭園を調査・研究。生涯に手掛けた庭は二百を超える。
斬新な意匠と力強い石組みの枯れ山水が神髄。「永遠のモダン」を創作の基本とした。世界的彫刻家イサム・ノグチは三玲との対談でこう語っていた。「あなたの一番いいところは、日本の昔の文化の中に入っていて、それで新しい世界に生きているということ」。
リニューアルオープンした岡山市の県立美術館で「重森三玲展」が開催中だ。庭園の設計図や写真パネル、書画などが並ぶ。代表作の京都・東福寺方丈庭園にみる市松模様、吉備中央町に移築された「友琳(ゆうりん)の庭」にみる絵画的なデザイン構成。独自の空間表現が際立つ。
目を引くのは、復元された三玲デザインの六畳の書院だ。市松模様に雲が漂ったかのような四面のふすまなど、枯れ山水庭園の意匠と重なる。
伝統を見据えながら、時代を超えたモダンを追求しようとした魂の軌跡が伝わってくるようだ。各地に残る実作の庭が見たくなった。