兵庫県丹波市の木戸節美市議(62)の市政報告会で差別的な発言をされたとして、神戸市中央区の外食事業会社社長で在日韓国人の文弘宣(ひろのり)さん(58)が同市議に損害賠償などを求めた訴訟の判決が神戸地裁であった。角隆博裁判長は「事実に基づかない発言で会社の名誉を傷つけた」とし、60万円の支払いを命じた。
原告側は7日、「個人の名誉棄損が認められなかった」などとして控訴。木戸市議側も近く控訴する方針。
判決によると、木戸市議は07年1月に丹波市で開いた報告会で、市立公園の管理者に同社の子会社が応募したことに言及。「社長や役員は『3文字』の人。会社をつくった人(文さんの実父)は(北朝鮮の)金日成に船を贈り、その船で国際的なテロ事件の犯人が運ばれた。こんな会社は絶対に反対だ」と語った。
判決は、木戸市議がインターネット上の情報などを安易に信じたと指摘。「船がテロ事件に使われたとする事実は認められず、聴衆に危険な会社だと思わせた」と述べた。3文字発言については「偏見を抱くことになるとは考えにくい」として文さん個人の名誉棄損は認めなかった。
文さんの経営する外食事業会社は女子サッカー・なでしこリーグの「INACレオネッサ」(神戸市)を運営する団体の設立法人。