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企業の「Vista飛ばし」が鮮明に

4月9日17時11分配信 ITmediaエンタープライズ


 クライアントPCのOSに「Windows Vista」を導入せず、時期OS「Windows 7」の出荷を待つ企業が増えていることが、社団法人日本情報システム・ユーザー協会の調査で明らかになった。

 高スペックのCPUや大量のメモリが必要で端末コストが膨れあがることや、業務ソフトの互換性が優れていないことなどが原因で、Vistaではなく一世代前の「Windows XP」が依然として支持を集める傾向に。Windows 7の出荷を待つ「Vista飛ばし」の方針を選択する企業も増えているとJUASは指摘する。

 2008年10月から2009年3月にかけて実施した「企業IT動向調査2009」で、導入しているクライアントPCのOSの比率を聞いたところ、Windows XPの導入割合が50%以上と答えた企業は90%を占めた。2007年度の78%から12ポイント増加しており、企業ユーザーにとってWindows XPが現在も主流になっている。

 2007年1月に発売され、2年が経過したWindows Vistaだが、2008年度において58%の企業が未導入と答えた。2007年度の86%から30ポイント弱減少しているものの、Vistaの採用は依然として進んでいない。Vistaを既に導入している企業でも、すべてのクライアントPCのOSに占めるVistaの割合は「20%未満」と回答した企業がほとんど。Vistaの導入割合が「50%以上」の企業は全体の1%にも満たなかった。

 Windows Vistaを採用しない理由として挙がったのは、(1)Vistaの新機能が企業ユースで訴求力が少ない、(2)高スペックのCPUや大量のメモリが必要で、端末のコストが掛かる、(3)業務用ソフトの互換性の問題――の3点。フォントの変更により、画面や帳票の修正が必要になる点や、Office 2007との互換性も導入の障壁になっているという。

 信頼性や安定性の面でVistaに不満があると回答した企業は52%で半数以上に。2007年度の45%から7ポイント増加し、不満の割合は一層高まっている。JUASは「通常はOSの出荷後にサービスパックなどが配布され、信頼性や安定性の評価が上向く傾向にあるが、出荷から2年を経ても評価が向上していない」と手厳しい評価。一方で、Windows XPに不満があると答えた企業はわずか3%と、Windows XPに対する企業の評価は総じて高い。

 Windows Vistaの導入時期を聞いたところ、「導入しない」と答えた企業が38%に上った。2011年度以降に導入すると答えた企業は20%だった。時期OSのWindows 7が2010年に出荷される予定のため、2011年以降にVistaを導入すると答えた企業も、結果的にはWindows 7の導入に踏み切る可能性が高いとJUASは指摘。OSの導入を先送りしている58%(導入しない、もしくは2011年度に導入すると答えた企業の回答を足し合わせた数値)がWindows 7を待つ「Vista飛ばし」の方針を選択すると予測している。

最終更新:4月9日17時11分

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